第310話

 ケルドラの合図を受けて、左右両端の二人がそれぞれ大きく分かれ、挟み込むようにしてレグスに襲いかかる。

 時間をおかずに残り二人のダークエルフも続く。

 そして最後にケルドラも動き、たった一人の標的に向かって五人もの精鋭が同時に斬りかかった。

 四方八方から繰り出されるダークエルフ達の斬撃。

 人の身にある者ではとても防ぎきれるようには思えない、それほどに圧倒的で巧みな連携術だった。

 だからこそ、勝負は一瞬にして決まると思われた。

――なんて野郎だ!!

 ガドー達の目の前で黒い剣の使い手が乱舞する。

 ダークエルフの連携攻撃を受けながらも、それを止め、流し、かわし、強引に連携網を斬り裂き、致命の反撃を入れていくレグス。

 彼には見えていた、高速で繰り出されるダークエルフ達の剣の軌道、その全てが。

 そして反応し切っていた、四方八方、死角から放たれる一撃にすらも。

 人間技とは思えない超人的な剣捌きに、身のこなし。

 黒い剣が嵐のように荒れ狂い、枯れ森の精鋭達を斬り殺す。

 圧倒する、まるで雑兵を蹴散らすが如く、煉撰隊の面々を圧倒し斬り殺す。

 レグス達の戦いを見る者の予感は正しく、確かに勝負はすぐについた。

 全滅。

 斬りかかった五人のダークエルフ共の敗北という結果でだ。

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