第267話

「気でも狂うたか、ガァガ!! 陛下の御前にこのような者を連れて参るなど!!」

 レグスは単なる部外者というだけでなく、壁の民との騒ぎ起こした張本人であり、そんな者を王のいる間へ、重要な話し合いが行われている場へ連れてくるなど常識では考えられぬ事だった。

 激昂し議員の一人が、衛兵達に命じる。

「衛兵共、何をしている!! 場違いのこの無礼者を、はやくつまみ出さんか!!」

 だがその命令に衛兵達が従うより早く、別なる声が部屋に響き渡る。

「口を慎め、星無しの子よ」

 その声と共に姿を見せたのは、荘厳な青き光りに身を包む少女であった。

 どよめく人々を一瞥した後、座する王を見据えて青き少女は力強く発する。

「星無しの民の王よ、よもや忘れてはおるまいな。我らがお前達の神々と交わした神聖不可侵の盟約を」

「神聖不可侵の盟約とな」

 ゴルゴーラ王には分からなかった、正体不明の少女がいったい何の事を言っているのかが。

 そんな王の顔付きに、青き少女は盟約の名を口にする。

「『連寧の盟約』にて、我らはユピアの神々と対等にあったはずだ」

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