第249話『未曾有』
「それでこれからどうするつもりレグス。私はこの混乱に乗じてさっさとてきとうな街まで引き返した方がいいと思うんだけど」
急ぎ天幕へと戻り必要最低限の荷を整理し終えたレグスに、セセリナが今後の行動についての見解を述べる。
すると、青き精霊のその言葉にレグスより先にファバが反応し、横槍を入れる。
「はっ? 壁越えはどうするんだよ」
「今はそんな事言ってられる状況じゃないわ。そうでしょ?」
セセリナがレグスの方へと視線を向ける。
彼女は昨夜彼と同じく魔女の言葉を聞いている。
この騒ぎが、毎冬この地で行われている戦いとは何かが違うであろう事を、彼女とて察していたのだ。
「ああ、わかっている」
これからどうするつもりか、それをレグスが口にする前に、空を旋回する鷹のライセンを眺めていたカムが言う。
「予想以上にまずいな、門が開くぞ。急いでここを離れた方がいい」
「おいおい、敵が攻めてきてるんだろ? なんで門が……、なにかの間違いじゃないのか!?」
疑う少年にカムは言う。
「ライセンの目は確かだ。見間違うような真似はしない」
この言葉を聞き、レグスは彼女に尋ねる。
「カム、まだしばらくファバの事を頼めるか?」
「それは構わないが……、どうするつもりだ」
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