『ラッキィ・デイ』

こんな湿気った秋の朝だから

入れたばかりの曲と初対面

ちょっとドキドキしたくてさ

冷えきった指でシャッフルをタップ


頭蓋骨の奥

 ちょうど視神経の後ろあたりを

割れたシンバルが

 真っ直ぐに滑り落ちていった

頭の中の雑多な思考モノ

 摩擦で焦げつかせながら


あまりにも熱くて

涙が出て

思わず目を瞑ると

瞼の裏はまるでピーカン


片耳だけ聞こえるグロッケンシュピール

息継ぎをしないイングリッシュ・ホルン

ベース・ギターの不器用な旋律に

心安らいだのは生まれて初めてで

通勤列車の嬰ハの唸りすら

今だけは無条件に心地いい


 もしかしたらこの世の誰もが

 誰かの救い主になれるのかもね


心にもない言葉を呟いてみたら

カサカサに炭化したハートが

珍しく素直に頷いた


おはようございます

今日はいつもより1センチくらい高いところの

空気を吸って歩けそうです

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