猫 土地神に弟子入りする。
一日も早く唯を俺の物にしないと、また下らない男に引っかかっちまう。
強迫観念に駆られた俺は、連日スパルタな師匠の元で特訓を積んでいた。
ああ、師匠ってのは、人間に
猫又になったばかりの俺は、ちっとも人間に変化出来なくて焦っていた。
唯が寝静まってから近所の神社で自主トレを始めたが、頭に葉っぱを乗せろだとか、巻物を咥えろだとか、猫集会で得た情報は、どれもコレもあてにはならなかった。そんなある日の晩、
「ねぇ、なにやってんの?」
と、ふいに子供に声をかけられた。
思わず「うわッ」と叫んでしまったが、正体がバレてはマズいと思い、すかさず「にゃ、にゃあ~~」と猫のフリをした。
「遅い。バレバレ。つーか、二本足で踊ってんの見ちゃったし。ねぇ、こんな夜中にうちの庭でナニやってたのさ、猫又くん?」
そのコンビニ袋を下げた銀髪の子供は、アイスを食いながら俺を睨んだ。
「す、すんません。すぐに帰りますんで……」
「だからナニしてたの? アタリが出なくて機嫌悪いから、さっさと言わないとアイスの棒、お前のケツにブチ込んじゃうよ?」
ひぃッ! ガキはナチュラルに残酷だから恐ろしい。
「じ、じつは――」
俺は一部始終を話した。聞き終えるとガキは、「大変だったんだねぇっ」と、泣きながら俺を撫で繰り回した。
「惚れた腫れたは得意分野さ! そういう事情なら、みんなボクに任せてよ!」
聞けば、どう見ても中坊なコイツは、この辺りの土地神だという。
気合だけは十分だが……アテになんのか、コイツ?
俺は一抹の不安を覚えつつも、この『土地神・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます