4−2

 ジョー一行は小船に乗って、やや遠くの方にある海に面したゴミ捨て場を眺めていた。

「見たところ、誰もいないようだな。」

「そうだな。」

 海からは沢山のゴミがこちらに向かって流れていった。ジョーは言った。 「皆、これから船を下りて、ゴミを伝って向こうに行くんだ。慎重に、見つからないようにしろよ。上陸したら作業員のフリをしろ。」

 ゴミを積んだいかだにジョーとメラマが乗る。タルヒはすでに山にいる。ゲルマは身体能力があまりないので、小船の番をすることにしている。

 ジョーはゲルマに言った。

「もしも、俺たちの身に何かあったら、迷わず逃げろ。そして、できたら、山に戻って 待機している奴らにも伝えて欲しい。」

「わかった。」

 ゲルマは返事をした。

「では、いってくる。」

 ゴミの扮装をしたジョーはメラマと向かい合わせで寝そべる。

「なんか公園のボートに乗ってるみたいね。」

 メラマは面白おかしく言う。

「こんな汚いボートあるかよ。」 ジョーは前を見て噴出し、ニヤリと笑いながら言う。

「それもそうね。」

「なあ。これが終わったら、」

 ジョーはメラマを真っ直ぐ見て言う。

「バウエ山に暮らさねえか。一緒に。」

「・・・。」

 メラマは黙る。

「やっぱないか。」ジョーはちょっと残念そうである。

「生きて、帰ってこれたらね。」

 メラマは目を逸らしながら言う。不安なのだろうか。ジョーは安心したような笑顔で言う。

「帰ってこれるさ。」

 そして、何故か、あああああああぁぁぁ・・・という悲鳴が海より遠くの方から聞こえる。ジョーが驚いてゲルマのいる船を見たが、ゲルマも訝しげに辺りを見ていたので、自分達の船ではなさそうだ。何があったのだろうか。ジョーはゴミ捨て場の方を見る。本当に驚くほど人がいないな。とこの時ジョーはふと不審な気持ちになる。

「ちょっとまって・・・。」

 ジョーは立ち上がったのでメラマが慌てる。

「何やってるの、見つかるじゃない。」

「本当に誰も見えないんだ。」

「え?」

メラマも立ち上がる。その時いかだはゴミ捨て場の岸に乗り上げて止まる。立ち上がったジョーたちを見て作業員の扮装をしたレリビディウムたちも立ち止まる。

「おい、よく聴け。耳を澄ませ。」ジョーが言う。音がゴミの山より向こうに聞こえた。だん、だん、だん、だん。それは次第にこっちに迫り来る。 そしてすばやい光が横切るのがジョーたちには見えた。光はゴミの山に命中し、ゴミはたちまち炎上した。この光は、炎の矢。つまり、タルヒが撃ったもの。ということは。

「処刑人!」

炎の中から大男が飛び上がりこちらに向かって落ちてくる。

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