波乱万丈な体育祭~パン食い競走が始まる~
何故昼飯の直後にパン食い競走を当てがったのか。どう考えても競争にならないだろ。
「優多、パン食い競走が飯の後にある理由について無駄な思考に耽っているな? 」
コイツは何故、こういう時だけ饒舌なんだよ
「お昼の大切なイベントだからって言うんだろ? 」
俺が応える前に譲が応えていた。
ああ、なるほど。
「菓子パンも食べれば間食だからか」
食堂のおばちゃんの協力の元、菓子パンが裸で吊るされていた。
「準備にも手間取るだろうからな」
「絶景かな絶景かな」
コイツ、まだ余裕で食えそうだな。
あんだけ肉食っといて元気だわ。
チョココロネ、あんぱん、メロンパン、三色ジャムパン、クリームパンなど定番の菓子パンが俺たちを待っていた。
パン食い競走、それは、保育園や幼稚園、小学校の演目にあっても流石に高校の演目に登らない、はず。
だがしかし、あなどるなかれ。
みよ、あの数。焼き立てのパンが釣り針(消毒済)に大量にぶら下がっている。
参加人数より遥かに多い。
これを導入した教師が
通常なら手に入れたパンを咥えながらゴールテープを切るが、ここは違う。
手を使わなければ食べていい。
より多くカウントされた者が勝者となるわけだ。
咥えてゴール地点の自分たちのクラスのカゴに置くもよし。
カウントは野鳥の会同好会『
大層な当て字だが、『さえずり歌う鳥のように出会いを喜ぶ』と言う鳥にちなんだ一期一会的意味合いがあるって言ってた。
鳥が大層過ぎるけどな。
カラスがギャーギャー騒いでるのを歓迎されていると勘違いしている的なでかさを感じる。
食欲旺盛が勝つか、テクニックで勝つか。
種類と数を問う。コンプリートした方がポイントが高く、より多くセットを集めた人の方がポイントが高い。
ここで思い出してほしい。
"手を使わなければ食べていい。"
参加人数は一クラス三人。
同時にスタートしてもいいし、リレーのようにタイミングを合わせて順番を決めるもよし。
手を使わければ、妨害策にでてもいい。
独自のルールに進化し、ネタ枠を本格的な競技へと変えてしまった。
どれだけの熱い戦い、どれだけの
戦いのくちびは、 今切られた───!
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