僕だけしか変わらない街

「変わらないな……」


 長旅から帰郷した男は丘の上でつぶやいた。


「俺は変わっちまったってのに、ここは何も変わらない……」


 男は街の風景を見下ろして、感慨深く言った。


「本当に何も変わりゃしない……。人も、家も、草も、木も、花も、空も、鳥も、畑も、油田も、家畜も、社畜も、CEOも、スライムも、アンデッドも、肉食系女子も、自走式対空砲も、アンドロイド小隊も、大工の熊五郎も、マグマ銭湯も、魔の三角地帯も、超次元転移ホールも……何もかもあの頃のままだ」

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