恋人岩

 少女は山の中へ僕を案内した。目の前にはとても大きな岩がある。


「この岩の伝説、知ってる? 恋人岩っていうんだよ」


「恋人岩?」


 僕が聞き返すと、もじもじしながら彼女は言った。


「うん。この岩を二人で一緒に川へ落として、水の流れをせきとめるの。そして水源を断たれた下流の村が一つ残らず滅びると、二人は両想いになれるんだって」


「代償が大きすぎる!」

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