Ayame with Musician

恋住花乃

第1話 雪月花(La'Vistierより)

滅多に雪の降らない街であるこの街に、積もる程の雪が降った。僕はただ雪の舞う庭で、はしゃぐ君を遠くから見るしかない。

クラスメイトである貴女は、あれからずっと休み時間になると教室の窓から蒼い空を眺めている。どんな事を考えているんだろうか。


卒業まで後少しだというのに、僕は貴女をあのようにしてしまった。今更、付き合っても強い拒否感を示すだろう。「あんたは私を振ったじゃないの。」と。

彼女を振ったのは、愛だの恋だの僕には分からなかったから。下手に付き合って貴女を傷付けたらどうしようかと思って。

でも、それが逆に貴女を傷つけたのかも知れない。


今から昔に戻って片思いでもいいから。君とこんなにも離れた距離じゃなく過ごしたい。

だけど、枯れた花は元には戻らないように関係も修復出来ない。

初めて出会った場所に連れて行っても、何か始まる訳では無い。

君を護りたいと思ってもその思いは届かない。

いつか、忘れ去られてしまうんだ。君も僕も。


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