勇者ですか?いいえ。最強目指す凡人です。
ジェネシス
〜序章〜
プロローグ
〜7月15日、都内某所〜
「あー……ねみぃー……」
俺、
「いや、優太は授業中ずっと寝てたでしょうが。どんだけ寝るつもりなのよ。」
そして、隣にいるこの女子、
「だいたい、もうすぐ高校受験なのよ?それなのに授業寝るってどういうつもりなのよ……」
「ってもなぁ……別にどこ行きたいってわけでもないしなぁ……」
俺らの通う中学校は地元ではそこそこ有名な進学校で、中学三年の俺らは受験を控えている。
俺は別にどこに行きたいとかないとか言ってるが、実際は密かに陽菜と同じ学校を狙っていたりする。
何故か、それは……恥ずかしいから言いたくない。察してくれ。
ちなみに、彼女は周りの目を引くような美少女だ。そして、怒らせるとかなり怖い。それはもう、般若のごと……
「ねえ、今優太君、失礼なこと考えてなかったかなぁー?」
おまけに、勘も鋭い。
「い、いや別にー?」
「ふぅーん?」
と、こんな他愛もないやり取りをしながら、俺達は歩いていた。
そして、いつも別れるT字路に到着する。もう少し、一緒にいたいけど、我慢。
「それじゃあ俺コッチだから、また明日」
「うん」
さーて、気分転換に、帰ったら小説の更新分でも読もうかな、と思った時、俺は陽菜に呼び止められた。
「ね、ねえ。優太、今度の日曜日さ、なんか予定入ってる?」
「ん? いや、入ってないぞ? それがどうした?」
「そ、それならさ、ちょっと遊びに行かない?」
え、まじで? おっと、平常心平常心。
「おう、いいぞ、集合場所はどこだ?」
「あ、ありがとう!じゃあ、10時に駅前でいい?」
「駅前? 遠出すんのか?」
「うん、ちょっとね」
「おう、わかった」
いよっしゃー! 恋人でもなんでもないけど初デートだァァァ!
なんて考えてることは内緒。
「じゃあ、また明日な」
「じゃあまた……キャッ」
「ん? どうした? ……って、その足元のはなんだ?」
彼女の足元に突然現れた光り輝く模様。
その幾何学的な模様は……魔法陣のようであった。
「とりあえずお前、そこから離れろ!」
「う、うんわかって……ってあれ? か、体が動かない!?」
「!?」
その瞬間俺は、ここで選択を間違えたらもう陽菜と二度と会えない……そんな気がした。
「……クソッ!」
俺はそう考えた瞬間体が勝手に動き、陽菜をその場から突き飛ばした。そして、勢いを殺せずに魔法陣みたいな模様に一歩踏み出してしまっていた。
「し、しまっ……」
俺の視界はどんどん歪んでいく。
「優太!」
俺が気を失う前に最後に見たのは、陽菜がこちらに向かって走ってくる姿だった。
そして──
俺の姿はその世界から消失した。
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