匿名捜査官タグ

坂崎文明

第1話 事件

 秋葉原の通り魔事件。


 公務員ホーム突き落とし事件。


 マンション女性バラバラ事件。


 社会保険庁爆破事件。


  



 世間では、様々な事件が頻発しているが、最近、動機なき殺人、理由不明の事件が頻発しているように見える。


 とはいえ、安藤光雄は、そこに小さな違和感を感じていた。


 ひょっとして、この一連の事件の背後につながりがあるのではないか?などと、思ってしまうのだ。




 それはまるで、喉にひっかかった魚の小骨のように、安藤光雄の心を捉えて離さない。


 妄想のようなものと言われても、仕方がなかった。


 ただ、それを裏づけるようなネットの妙な噂のようなものもあった。




【サークル7】と呼ばれる謎の組織の名が、ケータイサイトを中心にささやかれていた。


 その組織が、一見、無関係な最近の事件を背後から操り、何かをしようとしているという奇妙な噂である。


 その噂は、いまや、都市伝説のようなものになりつつあった。




 そして、安藤光雄はその噂の組織を探していた。





 ケータイサイトで検索をかけると、【サークル7】のキーワードにひっかかる【ブログ】が浮かび上がってくる。


 【ブログ】というのは、インターネット上に公開された日記のようなもので、その日記の読者との交流やコミュニケーションを目的に書かれている場合が多かった。




 【ブログ】の日記を辿って読んでいくと、どうやら【サークル7】と呼ばれる【コミュ二ティ】があることが分かってきた。


 【コミュ二ティ】というのは、言葉の通り、ケータイサイトのユーザーが集まっているインターネット上のコミュ二ティである。




 【サークル7】は非公開で、管理人承認制の【コミュ二ティ】であったが、安藤光雄は思い切って、参加を申し込んでみた。




 【サークル7】の参加はあっさり承認された。


 ただ、そこにいる人々は安藤光雄同様に、噂を聞きつけて、興味本位で集まってきたメンバーだった。




 【サークル7】の管理人によると、いわゆる【オフ会】と呼ばれるリアルな現実世界でのイベントに参加しなければ、本当の意味での【サークル7】への参加は許されないということだった。


 次回のイベントは7月5日の土曜日で、安藤光雄は参加を申し込んでみた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る