第42話 マーメイドたちの聖戦⑥

 マーメイドたちが十人いた。


 マーメイドは勇敢な女王に率いられ、ゴブリンや人間と戦っても一人も死ななかった。


 十人のマーメイドはエルフの住む大森林を目指して進んでいた。


 荒涼とした野原を進んでいた。食べるものがなくなって一人が死んだ。


 獣を狩って、食料を補給しようとした。獣が一匹もおらず一人が死ん

だ。


 人間の村で食料を分けてもらおうとした。村には誰もおらず一人が死んだ。


 村の井戸水を飲んだ。毒が入っていて一人が死んだ。


 大森林にようやくついた。森に迷って一人が死んだ。


 鬱蒼と茂る森を進んでいた。森の罠で一人が死んだ。


 狂ったように暴れまわる獣が現れた。獣に殺され一人が死んだ。


 獣を殺して食べた。肉に毒が入っていて一人が死んだ。


 木々を掻き分けて森を進んだ。植物の兵が潜んでおり一人が死んだ。


 最後の一人が泣きながら【珊瑚の女王】イオナに訴えた。


「もう森を出ましょう。海に帰りましょう」


 その言葉に答えたのは珊瑚の女王ではなかった。


 エルフの軍勢であった。


「そうはいかない。お前たちをここで帰すわけにはいかない」


 エルフの弓は、最後の一人を狙っていた。




《男が刺殺される殺人事件が発生しました。被害者は百万人。殺人現場は戦場。なお犯人は特に罪には問われない模様です。殺人を指示した男には勲章がもらえることになりました》

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