Before First Day 研修開始 一日目 02

 研修施設って、すげえなここ。


富士山の山麓まで、会社がチャーターしたバスに乗ってやってきた訳だが。


えーっと、1500人は収納可能なんじゃ? と思える宿泊施設。食堂まで完備か。


研修中は、不慮の事態に備えて医療専任スタッフまでいるって、いったいどんな研修なんだよ。 

おお、全国から選ばれし、研修生が集まってるな。 え、ずいぶん多くない?

プログラマーとかそっちじゃなくてテスターなのか……


「ねぇ、今回の研修ってさぁ全国から何人くらい集まってるんだ?」

隣にいた、社員の一人に聞いてみる。

「え? 聞いてないの? たしか1000人近くいると思うけど」


「そんなにか! 会社もこのプロジェクトに金をかけてるんだなぁ」

「VR技術でゲーム作ろうってんだから、そりゃかけるでしょうよ」


「そうだよねぇ。」

「そういえば、君どこの部署から?」

「あ、俺? 都内の渋谷の総務部から」

「そうなのか、ほんといろんな部署から集めてるんだな。 僕は名古屋。WEBシステム運営部からさ」


「WEBシステム! 今忙しいって聞いてるんだけど、こっち来て大丈夫なの?」

「なんか、上の方からの圧力っぽいのがあったみたい。上司は自分を研修に出すの反対してたから」

「そうなんだ、そりゃ大変な時期に。お疲れ様です」

「本音いうとね、会社あげての新規VRゲームのテスターに選ばれてよかったって思ってる」


「え? なんで?」

「考えてみなよ、VRゲームだぜ。 最新の技術の結晶ともいえるデバイスを体験できるいい機会じゃないか! そう思うだろ、普通」

「だよねぇ、時代はやっと小説に追いついた、って感じだし。 これからどんどん伸びていくのは間違いないよね」

「会社が、こういうチャンスを与えてくれて、僕は嬉しいよ」


そうだよな、こんなチャンス滅多にないもんな。 楽しまなきゃ損だよね。

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