ピエレッタ
本陣と呼ばれる指令部からシルマーに護衛され、ザイデル部隊長が集積所まで視察に訪れた。シルマーが声を上げる。
「おい、お前達、一体何をやっているんだ。今も作戦中だぞ」
シルマーはB級奴隷であるが、男女混成の部隊内では一般の女性兵士よりは上官となる。男が女に命令できる稀有なケースに当たる。アマゾネスはトラックのエンジンを止めると、ザイデル部隊長に状況説明した。
「ブエルムと争ってどうする。我々が戦うべきは反乱軍、その中心である地球人のゴールドマン奴隷長とオカダ査察官だろう。目を覚ませ」
ザイデルの言葉にその場のアマゾネスは直立不動となった。シルマーがブエルムの様子を伺うと、彼はまだ戦場の方向を見据えて息を荒げている。
「俺をこの鎖から解放してくれ。たのむ、後生だ。今ならひと暴れできるチャンスなんだ」
髪を振り乱すブエルムの顔は、興奮で目は血走ってはいるが美青年のそれだった。両手両足のチェーンを空しく突っ張ったり緩めたりして、重い金属音を響かせながら敵に向かって飛びかからんと歯を食いしばっている。
シルマーは白髪が目立つようになった短髪を撫で付けながら無言で側に寄る。彼自身も年齢を感じさせない筋肉質の大男だったが、ブエルムを前にすると小さく見えてしまうぐらいだ。
「おい、ブエルム。落ち着いてよく聞け、上官のシルマーだ。お前の倒すべき敵は地球人の二人だ、分かるか?」
シルマーは大判にプリントされた2枚の写真をブエルムに手渡した。
「お前もよく知っているS級奴隷のゴールドマン教授……ゴールドマン奴隷長が反乱の首謀者だ」
「ゴールドマンか、知ってるぜ。この世界では有名人だな。助けられた事もある。こいつを殺せばいいのか」
「それと地球人のオカダ査察官だ。総督府を破壊したレーザー兵器と航空兵器を自在に操る憎き反逆者だ。見付け次第、すみやかに殺せ」
「オカダ査察官……地球人。間抜け面だな。気に入ったぜ。望み通り
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