クラリッサ

 僕は噂通りに凄い集団なのか、ザイデルD-15部隊とやらに俄然興味が湧いてきた。


「赤地に黒いSの文字がデザインされた旗を持っているぜ、教授?」


「ああ、有名な血染め旗だ。最初は白い旗だったのが、倒した敵の血と勇敢に戦死した友軍兵士の血で赤く染まったという……」


 ゴールドマン教授が恐ろしげな逸話を話してくれた。しゃべった本人がブルっていて情けない事、限りなしである。


「そんな話、後付けの創作に決まってんだろ。部隊の象徴は綺麗に洗濯しろってんだ」


「ザイデルD-15部隊の女隊長、ザイデルは地球人の軍人をルーツに持つ生粋のエリートだ。士官学校を首席で卒業して格闘技も剣術も銃の腕前も超一流。おまけに巨乳で背が高くモデル並みの美貌を誇っている。デュアン総督一番のお気に入りというのも十分理解できるものだ」


「そんな完璧超人が存在するとは。敵として殺すには惜しいタイプだな」


「オカダ査察官、陸戦でひねり潰されるのは我々の方かもしれないのだぞ。味方の被害が出るのに、むやみやたらと高出力のレーザー兵器や航空攻撃が使える訳がなかろう」


「今の俺なら使ってしまうかもしれないぜ。ほら、電神“秋水”の到着だ」


 成層圏プラットフォームからの空中給油を済ませた電神・秋水は総督府前を陣取るザイデルD-15部隊の頭上を超高速でかすめた。速過ぎてブーメラン形のシルエットを肉眼で追える者はいない。墜落したヴィマナより旧式だが、こちらの機体の方が何年も使いこなされて僕の脳にフィットしているのだ。後は遠くに着地してしまった我が援軍の到着を待つばかりか。

 インディペンデンス号の衛星軌道上からの偵察映像にリンクし、ザイデルD-15部隊の布陣の様子と味方勢力の趨勢を早速コンタクト・ドライブシステム上で戦略分析にかけた。インディペンデンス号のメインコンピュータとも当然繋がっているのだ。


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