スキュラ
動かなくなった隙に、湖賊の二人から自動小銃を奪い取った……これでは僕の方が盗賊だよ、まったく。
当分の間、仲良くそこで気絶しておいて欲しい。
『……リーダーのライオン女は、どこなんだ?』
スケさんに現状を訊いてみる。
『ちょっと今は忙しいのよね』
ビルショウスキーを追い詰めている最中であった。
「チィッ! いいからRPGをケダモノに撃ち込んでやりな」
ビルショウスキーは駆け足で路地を疾走し、ヒゲの兵隊くずれに命令した。
「こいつは中距離用でさぁ。この距離でぶっ放しても、弾頭は十分加速しないどころか、爆発に巻き込まれてしまいますぜ」
湖賊二人は、あっさりと重い
更にビルの谷間の細い路地を突き進みながら、ありったけの弾を追跡者にばら撒いてくる。
さすがにカクさんも一定の距離を保ったまま、近付く事を許されなかったが、決着はもう時間の問題。
「他の奴らは一体どうしたんだい? まさかこの短時間でやられちまったとか? 目くらましの煙幕ぐらいでビルショウスキー一家が全滅なんて……他の湖賊家業の連中に顔向けできないじゃないか」
ビルショウスキーがそう言い終わるのと同時に、屋根で待ち伏せしていたスケさんは、ヒゲの兵隊くずれに向かって瞬時に襲いかかった。
「ぎゃあ!」
不意を突かれた男はロクに抵抗することも叶わずに、スケさんの牙の餌食となったのだ。まだ生きてますよ、もちろん。
「もう一頭いたのか!」
自慢の髪を振り乱したビルショウスキーは、踵を返してキョロキョロと退路を探す。
その時だった。足元からパキッと音がして、ビルショウスキーはケプラーシオマネキの幼体をあやまって踏みつけてしまった。
「……今度は何だってんだい?」
かしゃかしゃと脇道からリズミカルな音が響く。
どこからともなく兵隊ガニ……赤いケプラーシオマネキが現れたかと思うと、その巨大なハサミでビルショウスキーは、一瞬で捕らえられたのだ。もう敵味方入り乱れて、何が何だか分からない状況となってきたのである。
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