ペイトー
オーミモリヤマ市でもそうだったが、スタリオン高機動車を市内で走らせていると、街を歩く老いも若きも誰もが振り向く。道路にはタクシーやトラックばかりで、自家用車を走らせている人は一部の裕福な女性達だけだ。それゆえに派手な地球製のスタリオンは街中で目立つ、目立つ!
オーミヒコネ市では地球人がやって来た事が知れ渡ると、街は歓迎ムード一色になり、行く先々で大人気だった。まるでアイドル並みの扱いで、停車していると若い女性達からサインや握手を求められたりする事もしばしば。
「よかったね、オカダ君。街ですごい人気者だよ」
マリオットちゃんが、オーミヒコネ市の見物人に大きく手を振りながら言った。
「う~ん、嬉しいけど何だか照れ臭いな」
しばらくすると街の中央に古いタイプの石垣と、その上に建つ城が見えてきた。
「オカダさん! あれがオーミヒコネ城ですよ。
アディーが興奮気味に城の説明をしてくれた。彼女、お城マニアだったんだ。
スタリオン高機動車をオーミヒコネ城の外堀近くに駐車した。
「さて、ここからは俺とカクさん、シュレムとマリオットちゃん、アディーとスケさんの3グループそれぞれに分かれて伝説の
「え~! 私達は探偵じゃないし、どこから手を付ければよいのかも全然分からないわ。そんな雲を掴むような話に付き合いきれないわよ」
予想通りシュレムからの不満が飛び出した。
「ふふふ、そう言うと思ったよ。もしヒコヤンに関する有力な情報を掴んだ場合には、褒美として名物のオーミ牛の焼肉をごちそうするよ」
「さあ、行きましょうか、マリオット」
「うん! 高級肉を食べてみたかったんだ」
「治安はマズマズのようだが、各自十分注意するように。以上解散!」
M4カービンをケースに入れた白衣のシュレムは、僕とカクさんに向かって呼びかけてきた。
「……お風呂の話も期待していいのかしら?」
「一仕事終えて、食事した後の風呂は最高だぜ」
「ええ、確かに。日勤でも夜勤でも仕事を終えた後のお風呂は、何とも気持ちがいいものね」
そう言い残すとシュレム組は城内の方へと向かった。我々は城下町、アディー組は警察のツテを頼るそうだ。
「うひょひょ……お風呂か、これは期待できそうだな」
「何か言ったか、カクさん?」
「いや、何も言うとらへんで」
何て分かりやすい奴なんだ。もうこの後の展開が僕には見えてきたのだ。
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