シロナ

 意外なほど早く、オーミヒコネ市のメインゲート前に到着した。

 ゲート前はオーミモリヤマ市とほぼ同じで、テトラポットを積み上げたような延々と続くバリケード……その中央付近にコンクリート製の扉が重々しく鎮座している。当然灰色の扉は閉じられたままだったが、ゲート上方の監視塔の職員が、スタリオン高機動車を目の当たりにしてザワついてるのが分かる。

 今回、我々には頼れる? 婦警さんのアディーが付いている。アポイントメントなしの突然の訪問だが、ゲート守備隊の人にうまく話をつけてきてくれるはずだ。


「分かりました、オカダ査察官。私の力で何とかしましょう。しばらく待っていて下さいね」


 颯爽とスタリオン高機動車から降り立ったアディーは、外部連絡用の有線電話を使って何やらゲート守備隊の人とやり取りをしている。そんな時だった。油圧式の扉がゆっくりと左右に開き、オーミヒコネ市への道が開けたのだ。


「えっへん、私の力も中々でしょう……と言いたい所ですが、中央のデュアン総督から何らかの通達があったみたいですね」


 車内に戻ったアディーは、照れ臭そうに制帽を被った頭を指で掻いた。


「それでもすごいよ、アディー。鉄道以外で市内へは簡単に入れないのに」


 白衣のシュレムは彼女の肩を叩いて褒めたのだ。確かにすごいとは思う。

 マリオットちゃんは目を輝かせた。


「オーミヒコネ市だ! お城は見れるかな? 何か食べに行こうよ! お風呂にも入れるのかな?」


 スケさんは窓の外を注意深く見ながら答えた。


「ふふふ、そんなに興奮しちゃって。焦らなくても大丈夫よ。ゆっくり探してみましょう」


 高機動車はゲートを通過して市内へと入った。我々はすでに有名人なのかな? それともこのスタリオンが珍しいのかな? 警備の人達が山のように集まってくる。年齢は様々だが、やはりここでも目にするのは婦警さん……つまり女性達ばかり。

 一方、カクさんはテンションが上がってきた。


「うひょう! オーミヒコネ市の女性もべっぴんさん揃いだな。制服で魅力が2割増ってとこかな。脚が綺麗で、う~んいい尻してやがるぜ!」


「お前は中年オヤジか! なんちゅうセクハラチックな感想を述べているのだ」


 先が思いやられそう……どんな異世界が待っているのやら。


 

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