フレイア
ゴールドマン教授の強烈な一発によって視野狭窄が起こり目まいがしてきた。一体何を食ったら、こんな鼻の曲がるような匂いになるのだ。
皆吐き気を催しているのに、意外と平気なのがシュレム。悪臭なんか慣れっこだと、意気揚々と答える。
「看護職をなめてもらっちゃあ、困るわ。入院患者様の吐瀉物や排泄物と毎日のように格闘しているのよ!」
そうなんですか……頭が下がります。一方、こちらは……。
「下品なオヤジは嫌いよ」
繊細なスケさんは、こういうのにうるさい。教授の残念な振る舞いに前評判が高かった分、かなり幻滅したようだ。
「ミューラー市長、彼は、ゴールドマン教授は一体どうされたのですか?」
僕は、最もよく事情を把握していると思われる市長に訊いてみた。
「無駄よ……数10年の月日が流れ、彼はすっかり身も心も奴隷となり、ケプラー人に溶け込んでいるわ」
「何てこった……」
僕は
美しき総督、デュアン様が左手を腰に、右手を口元に当てて高笑いする。
「おほほほ……彼は女性にモテすぎて子供が十人ほどいるわ。孫も含めると一大ファミリー! 地球人は繁殖能力の面でもずいぶんと優秀でおありのようね」
「何てこった……」
地球人がここ、植民惑星で女性からモテるのはいいが、教授のようになるのはお断りだな。
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