ニサ
「君達では話にならない。師長いや、病院長もしくは理事長を呼べ~!」
「ふざけるな!」
周りの看護師がついに怒り心頭で、高機動車のタイヤめがけて発砲してきた。シュレムは弾切れなのか、病院の方へと駆けて行くのが見える。
「どうやら野蛮人には言葉が通じないみたいね」
スケさんが車内から顔を出して続けた。
「オカダ君のコンタクト・ドライバーとしての力を見せつける時よ」
……黙って頷いた。僕の両眼にはめているナノテク・コンタクトレンズを通じて衛星軌道上のインディペンデンス号に指令が伝わる。瞬時に機首のサーチライト型の副砲の一つに光が灯り、出力を絞った状態で地上目標に照準が合わされたのだ。この間0.5秒もかからない。
僕は銃弾荒れ狂う車上で、張り裂けんばかりの大声で叫んだ。
「トール・サンダー!」
人々の怒号が爆音により掻き消された。
衝撃波が荒れ狂い、天空よりの光に包まれる僕を誰もが直視できないはずだ。一瞬の内に地面がまばゆい灼熱化と蒸発を始め、深さ数メートルの炎に彩られた外堀が築かれてゆく。
シュレムが腰を抜かし、恐怖に引きつらせた顔を遠くで見せる。どうだ、たまげたか!
そのまま我々の搭乗する車を中心に、レーザービームの同心円が幾重にもコンピューターの精密計算により描かれていった。もちろん人に当たらないように一筆書きされたが、何も知らない奴から見ると、僕が火炎系の魔法でも使ったように見えるはずだ。発達しすぎた科学は魔法と区別がつかなくなるとは、よく言ったものである。
だが、
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