3.
「いい歳して中学生に手を出すとか何考えてんだ」
その人は怖くて少しかっこいい男性だった
私の気持ちを汲み取ってくれてるのかそこまで大きな声でこいつを注意していない
この状態に気づいていた人はまだジロジロとこっちを見てるけど、他の人は気づいていないだろう
今のうちにこいつに乱されていた服を整えておく
「いやいや、なに言ってるんだよあんちゃん。この僕がそんなことするわけないじゃない」
「へーーそうか、あんたは無実を主張するのか。おいそこのあんた、抑えられてたよな」
「は、はい」
こ、コッワーーー
急に私に目線を向けてきたから私まで怒られるのかと思っちゃったよ
怒られることなんてなにもしてないんですけど
「だそうだ。ちなみに俺も見てたがこれをどういい訳する気だ」
「そ、そんなの言いがかりだ!僕はそんなことしてない!それなら証拠を見せろよ証拠を!!」
こいつが急に叫んだからみんなの視線がいっきに集まった
なんだろう、すごい恥ずかしい
もう服を整え終わってるからバレてないだろうけどそれでも恥ずかしい……
この中に私が痴漢にあっているところを見た人がいる
それに加えて私が痴漢にあったことをみんなが知ったら……
もしこの中に同じ中学校の人がいたりしたら……
それを考えただけで目の前が真っ暗になった
「証拠ならそこの子が見てると思うぞ。俺が財布を盗まれたところをな!」
…………へ?財布?
意識が飛ぶ寸前にこの人の言葉が私の頭に入ってきた
なんでいきなり財布の話になってるんだろう
それに財布を盗ってるところちっとも……
「…………はい!バッチリ見てました。私、ハッキリと見てました!!」
「だそうだ。とりあえず次の駅で事情を説明してもらおうか」
おじさんも自分が先に大声を出したから逆らうことができない
だってこんな大勢の前で悪者になってしまったんだからお兄さんに従うしかない
本当に財布を盗ってないなら駅に降りてからきちんと証明すればいいんだから
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます