サラブレッド

ちいさいころは草原を自由に走っていた

進むべき道など印されていなかったから

無邪気に駆けていた

わたしの宿命なんて知らずに


大きくなるたびに目線が高くなり

柵の向こう側に興味を持った

窮屈な牧場はもうたくさんだと


ある日おじさんがわたしを柵の外へ連れ出してくれた

見たこともない世界

はじめての興奮



鞭で叩かれるなんて



そうして自覚した

わたしはサラブレッドではなかったと

牧場を守る母なる馬であったのだと

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