第37話 「琉花とルカ」


 リルネがまっすぐに指を伸ばす。その前に琉花は自然とひざまずいていた。


 その様子はまるで、主君にかしずく騎士のようだ。どちらも女の子なのだが。


「汝、ウンディーネ:琉花。肉と霊の盟約に従い、我が魔贄を喰らいて力を示せ」

「え……、えっと」


 琉花は戸惑いながら顔をあげてリルネを見上げる。なにをすればいいかわからないようだ。リルネも少し恥ずかしそうに顔をしかめて、口を尖らせながらつぶやいた。


「なんでもいいから、はいって言いなさい」

「じゃあ、えっと……、わかりました、銀の乙女さま! 私の力、誠心誠意あなたに預けまっす!」

「ふ、普通でいいんだってば、普通で」


 そんな締まらないやり取りがあり、リルネと琉花の間に目には見えない絆のようなものが結ばれた。


 これで琉花はリルネの契約精霊となった。


 アシードに続いて、ふたり目だ。


 ぼよんぼよんと跳ねながらリルネの前にやってきた足のない琉花は、ギュッと握った右拳を胸元に持ち上げる。


「ありがとうね、りるるん。私、めちゃくちゃがんばるから」

「もちろんよ。とことんこき使ってやるんだから、覚悟しなさいよね」

「ひえ~~」


 琉花が青い髪をかばうように頭に手を当てる。それを見たリルネも「ふふっ」と笑顔を見せた。そこでふたりの間に、狐火のような炎が燃え上がる。ラシードの登場だ。


 実体化した彼は、張り詰めた声で告げた。


『来るぞ、主よ』


 リルネと琉花の顔つきが変わる。


 直後、結界の中に轟々と雨が降り出す。ごく一部分だけに降り注いだその雨は、集まり合わさって塊となった。まるでゼリーのように膨らみ、形を変えながら、やがて何本もの触手――水の鞭だ――を生やす怪物の姿を取った。


「出たわね、ルサールカ。この決闘結界内ならあんたも地中から水を吸い上げることはできないわ。今度こそ、あんたを叩きのめしてやるんだから」

「うん」


 琉花も強くうなずき、ルサールカに指を突きつける。


「私はあなたを止めてみせる! これ以上、罪を犯させはしないんだからね!」


 ふたりの戦意に呼応するようにルサールカが声なき声で叫ぶ。


 こうして、戦いが始まった。




 決闘結界の中に入れないのが、もどかしい。俺とスターシアは固唾を呑んで、戦いを見守っていた。


 リルネは高熱のハンディを背負っている。その穴を琉花が埋められるのかどうか。琉花の実力は未知数だ。


 先に動いたのはルサールカだった。叫び声が詠唱だったのだろう、数々の水の槍を生み出した魔霊は、それをすべてリルネへと放つ。以前リルネに苦汁をなめさせられたことを覚えているのだ。


「アシード、お願い!」

『任された。この程度の水魔法など――』


 アシードの尻尾の炎が燃え上がったと思うと、そこから火球が撃ち出される。火球はことごとく水の槍を迎撃し、空中に花火と蒸気を撒く。


「はっ、なんだろうこの気持ち……! 私、あのトカゲさんのことを見ていると胸がドキドキして、なんだかすっごく不愉快な気持ちになってくるんだけど! なんでかなーっ!?」

「知ったこっちゃないわよ! いいから前見てなさい、前!」

「えっ? え、えええっ、うわーっ!」


 水の槍を放ちつつも、ルサールカは同時に水の鞭を繰り出してきた。瞬きひとつの間に、前に立っていた琉花が切り裂かれる――。


「る、琉花!?」


 俺は思わず叫んでしまう。体をバラバラにされた琉花は、飛沫となって散った。


 だが、リルネの顔に動揺はない。


! 琉花!」


 リルネの手のひらに蒼い輝きが浮かぶ。すると琉花はルサールカが現れたときのように集まり合わさり、塊となって少し前の位置に出現した。


 そうか、琉花も水の精霊だから、斬撃は効果がないのか!


「びっくりしたなーもー! ふぬぬぬぬぬぬ!」


 琉花の体にはルサールカのすべての水の鞭が食い込んでいる。鎖でがんじがらめにされているように見えるが、むしろ身動きを封じられているのはルサールカのようだった。


 顔を真っ赤にしながら、琉花は持ち上げられないようにその場に踏ん張る。ルサールカも同じように動けない。両者の力は拮抗していた。


「なんだか全身からすごい、熱い力が流れ込んでくるんだ! これだったら、いけるかもー! うおりゃあああああああ!」

「あたしがあんたに魔力を注いでやってんのよ! けっこう疲れるんだからあたしの魔力無駄使いするんじゃないわよ! それじゃあ今のうちに、詠唱を……!」

「あーもーだめ」

「は!?」


 持ちこたえたのは一瞬だった。琉花の体はいともたやすく振り回され、高々と舞い上がる。「あーれー!?」と悲鳴をあげる琉花。


 詠唱準備に入っていたリルネは目を丸くした。アシードも両目を瞑って『凡愚が……』とため息をつく。


 ところがそのときだ。空中で振り回されていた琉花は両手を組み合わせてニヤリと笑った。


「なんちゃってねー!」


 吹っ飛ばされていた琉花の両手が突如として巨大化した。水の鞭を通してまるでストローのように水を吸い込み、琉花がルサールカから水分を吸収したのだ。


 そのまま琉花は組み合わせた両手を頭上からルサールカの脳天に叩きつけた。一メートルを超える水の拳の一撃を食らい、さすがのルサールカもよろめく。


 琉花はそのまま自分の水分を吸収される前に鞭を切り離し、消失。リルネのすぐそばに再び現れる。


「今だよ、りるるん!」

「まったく、やるじゃないのあんた! いいわ、今度はあたしたちの番よ!」


 リルネが杖を突き出す。先端に爆発寸前のような禍々しい紅い光が宿り、それは一瞬で弾けた。


蜥蜴槌炎バーンストライク!」


 出た。アシードとともに放つ合体魔法。リルネの切り札だ。


 先ほど琉花が殴りつけた場所を再び、今度は炎の拳が打ち下ろされる。爆発が巻き起こった。地面が揺れるほどの衝撃が走り、俺とスターシアは結界の外だというのによろめく。


 ルサールカの苦悶の叫びとともに、その体が蒸発したことによって作り出された水蒸気のカーテンが辺りを覆い尽くす。リルネが手を払うと、そこから風の魔法が放たれて視界が明瞭となる。ルサールカの身体はその半分が消し飛んでいた。


 リルネひとりで使った魔法の威力もすごかったが、アシードと力を合わせるとこれだけの威力を一瞬で放つことができるのか。


 精霊ってすごいんだな……。俺は思わず生唾を飲み込む。


「やっ、ちょっ、熱い! 熱気が! 熱い系なんだけど!」

『フン、そうであろう』

「えっ、なにこのトカゲさん、すっごいドヤ顔しているんだけど、なんなの!? ケンカならいつでも買ってやるんだからね!?」

「やめなさいあんたたち」


 リルネがしかめっ面でうめく。炎と水、相反する精霊を同時に召喚すると、板挟みで大変そうだな……。


 しかし、いい感じだ。即席のコンビネーションだというのに、ルサールカを圧倒している。このままいけば、リルネの体力がなくなる前にカタをつけられるだろう。


 巨体を維持できなくなったルサールカの体は縮み、長いドレスをまとった少女の姿へと変身していた。第二形態だ。


「いいわ、前回はあんたの詠唱を止めることができずに苦しめられたけど、同じ手は二度も食わないわよ!」


 リルネは杖を突きつける。あと何発か蜥蜴槌炎を打ち込めば、ルサールカは完全に消滅するだろう。


 魔霊ルサールカが強力な水魔法を繰り出してきても、こちらには琉花がいる。ウンディーネである彼女に水魔法は通じない。鉄壁だ。


「『……なんで、なんでだよ……、なんで私ばっかり責められるんだよ……』」


 そのときだ。琉花の口から張り裂けそうな声が漏れた。


 琉花自身も驚いているようだ。彼女は自分の口を押さえて辺りを見回している。ハッとしてルサールカを見た。魔霊はリルネたちを恐れるように距離を取り、立ち尽くしていた。


 今のはいったい。


「まさか、ルサールカ……、あなたの気持ちなの? 今の……」


 琉花に答えるように、が口を開く。


「『そうだよ……、全部お前のためにやってきたのに、なんでお前が私を否定するんだよ……、ひどいだろ、そんなの……、最低だろ……!』」


 琉花はくしゃりと顔を歪めた。


「どうして、そんなことを言うの……。私、あなたに助けてなんて、言ってないよ」


 対する声はひどく昏く、醜い。


「『言ってたさ! いつだって、言ってただろ! だから私が助けてやったんだよ! お前がもう耐えられないって、もう嫌だって泣くから! 私がお前の敵を、お前の代わりにやっつけてやってたんだよ! いつだってそうだったさ! 小学校で意地悪されたときも、お前が頼むから私が椅子を振り上げてあのクソ生意気な女をブン殴ってやったんだ! 弱いお前の代わりにな!』」


 ルサールカは、そんなことを思いながら戦っていたのか……。


 なにも感情がない、ただの化け物だとばかり思っていたのに。


「そんな、私、違う!」

「『違わねえよ、卑怯者! お前は自分が傷つきたくないから、なんでも汚れ仕事を私に押しつけてきたんだ! それが今度はいらなくなったからって、またお前は誰かに頼んで代わりに私をやっつけて証拠隠滅しようとしてんだろう! お前は本当にゴミだ! 最低の奴だよ!』」

「そんなつもりじゃない! 私はみんなと仲良くしたかったもん!」


 俺は記事に書かれていた琉花のゴシップを思い出す。もともと水原琉花は気性の荒い人物で、時々『キレる』ことがあったのだと。


 もしかしたら、ルサールカの言っていることは、すべて真実なのではないだろうか。俺はそんな疑念を抱き、背筋が寒かった。


 琉花は極度のストレス下に追い込まれた際、そこから逃げるためにルサールカを利用していた……?


 そこで突然、リルネが膝を折った。その場にうずくまる彼女は全身からひどい汗をかいていた。


「やば、なにこれ……、急にすごく気持ち悪いんだけど……」

『主よ、今すぐにあのウンディーネとの契約を破棄せよ』

「え……?」

『精神異常を引き起こした精霊を飼えば、主もまた蝕まれるぞ。これだから凡愚と契約をするのは危険であると……』


 アシードの言葉に、リルネは自らの体を抱きながら彼を見上げる。


「まさか、アシード、あたしを心配して……?」

『当然だ、我が主よ』


 つまり、ルサールカの想いが琉花の中に流れ込み、そのせいでリルネまでダメージを食らっちまっているってことか……。


 リルネは下唇を噛みながら、アシードに問う。


「……ここであたしが琉花との契約を破棄したら、どうなるの」

『奴は魔霊に取り込まれよう。だが、主の命は助かる』

「っ……!」


 なんてことだ。


『主ができないのならば、我があやつの息の根を止めよう。さあ、契約を解除せよ』

「……でも、そんなの……」


 魔霊ルサールカは再び暴れ出す。それは先ほどに比べればとても拙い、威力も低い魔法攻撃ではあったが、リルネと琉花がほとんど身動きが取れない中、アシードが自らの魔力を使いながら迎撃をしている。


『主よ! このままでは死ぬぞ!』


 アシードの姿はみるみるうちに縮んでゆく。魔力を使い切った精霊がどうなるのかは知らないが、少なくともこのままずっとリルネたちを守るわけにはいかないだろう。


 坂を転がり落ちるように、状況が悪くなっている。


 こんなはずじゃなかったのに。


 ――くそう。俺はなにもできないのか……!


 俺が無理矢理、決闘結界に手を突っ込む。指先がみるみるうちに焦げてゆく。苦痛に歯噛みしながらそれでも腕を押し込もうとするのを、隣にいたスターシアが止めてきた。


「無茶です、ジンさま……、そのままでは、ジンさまのお身体が!」


 もしかしたらなにかが視えていたのかもしれない。結界に突っ込んで黒こげになる俺の間抜けな死に様が。


「だが、このままというわけには……!}


 リルネは琉花が目の前で死ぬのを、見過ごすわけにはいかない。


 ふと視線を感じて顔をあげた。すると、すぐそばのケルピーが物言わぬ視線で俺を見つめていることに気づく。


『……』

「そういえばお前は、どうして」


 こいつがここに案内してくれたんだ。ケルピーもまた水の精霊だ。ルサールカやウンディーネに縁深い存在なのだろうか。


 ケルピーは丈夫な足で土を蹴り、首を振った。中から目を離すな、と言っているようだ。


 琉花とルサールカの言い争いは続いている。そのたびにリルネは苦しそうに息をついた。このままでは、中のものたちは全滅だ。


「『お前が私のことを嫌いなように、私もお前のことが嫌いだよ! 誰にでもいい顔をして! 人の嫌な部分ばっかり見えるくせに、目を塞いで耳を塞いで! ああ汚い! なんて卑しい! お前なんて反吐が出る!』」


 ルサールカもまた、泣きわめいているように見えた。


「がんばってみんなと仲良くしようとして、なにが悪いのさ!」

「『その結果があの有様だろう! この、人殺しが!』」

「っ!」


 その会話を聞きながら、俺はひとつの疑問を覚えた。


 なんだろうか、この違和感は。


 そもそもルサールカなんて、いたのか?


 琉花と言い争うあの精霊がただの化け物だとは思えない。


 心の闇が具現化した存在ということは、それもつまり、


 そうだ。俺は再びジャッジの力を使う。すると――。



  名 前:水原琉花


  種 族:ルサールカ


  職 業:精霊


  性 別:女


  年 齢:13


  レベル:204


  スキル:水魔法第三位、高速詠唱、水属性無効、吸収



 前は見えなかった。ルサールカが第二段階に変身したからこそ見えるようになったのだろう。


 やはり、彼女もまた水原琉花なんだ。


 頭の中で光が閃いた。


 だとしたら、今回の『エンディングトリガー:彼女の本当の姿を取り戻せ』とは、つまり――。


 ルサールカが、もうひとりの琉花が金切り声をあげる。


「『もう私とお前は後戻りできないんだ! 人を殺してのうのうと生きられると思うな!』」

「押したのは、私じゃ、私じゃ……!」

「『いいや、私とお前だね! だってそうだろう! お前はあの瞬間、スッとしたんだ! 気持ちよかったんだろ、復讐を遂げて! その足を奪ったやつらに同じだけの苦しみを味わわせてやりたかったんだろ! だから一緒にやったんだ! それなのに私だけを消したって、お前の罪は晴れやしない! お前は今ここで、私とともに死ぬべきなんだよ!』」


 そうだ、救わなければ。


 俺は、泣きじゃくるあのふたりを――。


「――違う!」


 そこで俺は叫んだ。


 苦しむリルネも、目から大粒の涙をこぼす琉花も、隣にいたスターシアもみんな俺を向いた。


 俺は首を振った。


「琉花が突き落としたクラスメイト『篠原里恵』は、死んでなんていないんだよ」


 琉花が目を見開いた。


「なんでそんなことが、あなたにわかるの!」


 それが琉花の声か、それともルサールカの声だったのか、俺にはわからなかった。それでも俺は続ける。


 あのふたりに伝えなきゃいけない。


 とても大切な言葉を――。


「病院に行って、会ってきたからだ」




 俺は琉花の生前の足取りを追う中で、琉花の地元へと足を運んだ。


 そこで手当たり次第の人に事件の話を聞いていった。危うく通報されかけたが、手がかりを掴むことができた。


 聞き込みをした中に、琉花に突き飛ばされた女の子の友達がいたのだ。これから見舞いにいくという彼女に付き添って、俺も病院へと向かった。


「篠原里恵は、悔やんでいたよ。お前に軽いイタズラをするつもりが、足に大怪我を負わせてしまって、ずっと謝りたかった。階段から突き落とされたときも、仕方ないって思っていた。お前の訃報を聞いた彼女は、本当に死ぬべきなのは自分だった、って泣いてたんだ」

「嘘だ!」


 琉花は泣きながら首を振った。


「そんなはずがないよ! だってあの子は、私のことが嫌いだった! そんなの、思い出の中で美化をしているだけだよ!」

「そうかもしれない」


 俺は静かに認めた。


「でも、その話を聞いた俺は、彼女の言葉は本心だと思ったよ」

「だからってそんな……、そんな!」


 ふたりの琉花に向かって、俺は語りかける。


「お前たちもそうだろう、琉花。人はみんな、光と闇を抱えている。俺だってそうだ。みんなそうなんだ。どちらかだけが自分だけじゃないんだよ」


 そばにいけなくても声は届く。俺は精いっぱい、結界の中に声を張った。


「なあ、琉花。お前たちはふたりでひとつなんだ。本来はひとりだったはずなのに、この世界にやってきてふたつに分けられちまったんだよ。だから、元通りになるべきなんだ。そしたら、篠原里恵に伝える言葉があるだろう! 俺がまた、あの病院に届けにいくから!」


 死んだ人間から手紙が届くなんて、きっと彼女を知っている誰かが書いた作りものだと思われるだろう。


 それでもいい。俺はそういうお節介をしていきたい。それでふたりの少女の心が晴れるなら、いいじゃないか。


 琉花は唇を震わせながらつぶやく。


「生きてた……、里恵ちゃんが、生きてた……。私、あの子を殺さずに済んだ……」


 ふたりの琉花が、同時に言った。


「よかった」『よかった』


 だがその直後、弾かれたようにルサールカが顔をあげた。


「『違う!』」


 彼女は腕を振り回し、わめく。


「『そんなの、本心じゃない! 私は本当にあの子を殺したかったんだ! 一時の感傷に振り回されるなんて、どうかしている! やったことの罪は消えないんだ!』」


 琉花の声は落ち着き払っていた。


「……あなたは意地になっているだけだよ。罪の重さに耐えきれなくなって、開き直っているだけ。ねえ、一緒にいこうよ。村の人にも、謝らなきゃ」

「『嫌だ! だって私は悪くない! 悪いのは全部私たちを傷つけるやつらだ! 私たちは悪くないんだ!』」

「私たちは、どっちも悪いんだよ。だから、ごめんなさいしに行かなきゃ」


 彼女は間違いなく自分を取り戻した。ということは――。


「まったく、本当に世話を焼かせるんだから……」


 リルネもまた立ち上がっていた。頭を押さえながら、彼女ははっきりとした目でルサールカを見つめている。琉花の精神が安定したからだ。


「悪いけど、いったん大人しくなってもらうわよ」

「『嫌だ! お前たちが死ね!』」


 ルサールカが立ちあがったそのとき、決闘結界が弾け飛んだ。キラキラとした光の粒子が舞い散り、辺りを彩る。


 リルネがこちらを肩越しに振り返り、腕を掲げた。


「ジン! あんたも時間稼ぎぐらいに役に立ちなさいよね!」

「もちろんだよ、お嬢様!」


 俺とケルピーが同時に飛び込んだ。


 ――さあ、エンディングの時間だ!

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