赤髪の少年は空に笑う

星町憩

 錆びた鈴が転がるような蝉の鳴き声が、開け放たれた窓から聞こえてくる。鳴き声は、蒸し暑い空気に溶けて教室中を飛び回っているかのようだ。襟ぐりを握っていくら下敷きで仰いでも、汗の粒は肌に滲んで増え続ける。暑い。本当に、暑い。

 鳴き声に誘われ、俺は窓へと目を遣った。入道雲がそそり立つ、八月の青空が眼に沁みる。

 連日の強い日差しを受け止めた教室は、蒸し風呂状態だった。淀んだ教室の熱は、生徒達が窓を全開にし、風を通そうといくら躍起になったところで、そうすぐに冷めるものでもない。窓から入り込んでくるのは、生温かい空気ばかりだった。日差しに焦がされ火照りきった肌を、慰めてもくれやしない。むしろ、生温い風は不快感さえ呼び起こさせた。

 それでも誰も窓を閉めようとはしない。それはもしかしたら、真夏の教室に籠る匂いがまるで厩舎にも似て、ある種の息苦しさを感じさせるからかもしれない。

 俺は手慰むようにカーテンを指で摘んだ。風がふわりと頬を撫でる。俺の席の前で、黒い髪がさらさらと揺れた。まるで簾みたいだ。風に靡くその髪を眺めていたら、少しだけ暑さが和らいだような心地がした。

 俺は、ふう、と息を吐いて、教室を見渡した。生徒達は、放送を待ちわびながら、暑さに項垂れ机に突っ伏している。やがて、天井のスピーカーから、微かな雑音が零れ出す。

 ジ。ジジ。ジジ。

『……全校集会を始めます……生徒の皆さんは……並んで体育館へ移動してください……繰り返します……全校集会を始めます……』

 ようやく鳴り響いた教頭先生の声に、生徒達はがたがたと音をたてて椅子を引いた。誰かの口から「暑い……」という本音がぼそりと漏れた。それでも、誰もそれ以上の弱音は吐かない。「どうして夏休みなのに学校にいなきゃいけないんだ」とか、「早く家に帰りたい」とか。――今日は、原爆が落ちた日だから。

 この辺りの小中学校に通う生徒達にとって、夏休み最中のこの一日は、平和について学び、考える大切な日だ。花火大会、海水浴、甲子園――それら全ての楽しいイベントが、サイレンの音に滲んで溶けていく……まるで水に浮かんだ角砂糖のように。物心つくかつかないかの頃から、俺達にとって夏は、かつての原爆の悲劇と戦争の終焉に思いを馳せるための季節だった。サイレンが鳴る水色の季節だった。 

 テレビに映る甲子園のサイレンさえ、聴けばふと祈らなければならないような心地になる。俺の周りには、八月九日と言うこの日に夏の熱さや日差しの強さを疎む言葉を口に出す人間は一人もいない。赤く焼けた腕を見つめながら、俺達はこう呟くのだ――「今年もこの日、晴れてよかった」と。

 午前中に登校し、校長の話や被爆者の話に静かに耳を傾ける。耳から脳髄まで染みわたるような柔らかい十一時二分のサイレンの音に目を瞑り、凪いだ心で【誰か】に祈る。親に反抗したり、世の中を斜めから見下ろしているような冷めた人間でさえ、この日は家族を大切にしよう、この気持ちを忘れないようにしようという素直な気持ちに満たされるのだ。原爆の日は、俺達子供にとって泉のような時間だった。……なくてはならない日。「仕事をしていて黙祷の時間を過ぎてしまった」なんて言う大人もいるけれど、きっと彼らだって俺達の年頃には同じ気持ちでいたのだろう。

 学校は十二時に終わり、昼食を食べに帰宅する生徒や部活へと駆けるやつもいた。俺はと言えば、自転車でひとっ走り、学校の坂の下にある酒屋のコンビニまで降りて、昼時売れ残りのパンを適当に物色した。本来、買い食いは禁止されているけれど、夏休み、しかも半日で終わる登校日の日なんて先生たちの目もそこまで行き届かない。ついでにいうと、自転車通学も普段は許可制だけれど、夏休みだとその辺の規制が緩くなっている。

 卵サンドとカレーパン。それから飲み物を二人分。棚から豆乳の紙パックをとる時勢い余って真ん中を少し強く握りすぎた。箱に折れ目のようなかたがついてしまったけれど、これを飲むあいつは大して気にしないだろうなと気を取り直す。別の棚でペットボトルの緑茶をとって、ポケットから五百円玉を二枚取り出してレジを済ませた。自転車にまたがり、手首にビニール袋を引っさげたまま息を切らして中学校までの長い坂を上る。こんな急な坂じゃ、自転車を降りて歩いた方がましかもしれないけれど、これもトレーニングの一貫だと思って俺は誰に言われずともそれを自分に課しているのだった。部活ではバレーボールをやっているから、足腰はいつだって鍛えたいし。

 自転車を、部活の先輩から代々教わる校舎裏、秘密の駐輪場所に留め、俺はシャツで首筋の汗を拭きながら下駄箱に靴を投げ入れて、階段を駆け上った。開け放った教室のドアの隙間から、涼しい風が吹き抜ける。旗のようにひらめく白いカーテン。教室に残っていたのは、ただ一人だった。俺の友達の梓だ。全開にされた窓の傍で、梓は俺の机に椅子を向かい合わせ、窓枠に頬杖をついてぼんやりと空を眺めていた。カーテンが梓の頭を撫でて髪がぼさぼさになっているけれど、梓は気にも留めていないようだ。梓の華奢な後姿が逆光で照らされる。俺は眩しさに目を細めた。この季節は、廊下や体育館に灯る電気の灯りより、教室の窓ガラスやカーテン越しに透ける日の光の方が目に沁みる。

「梓、お前卵サンドでいい?」

「うん」

 梓は、水色の空から視線を外さずぼんやりとした声で答えた。左手には吸いすぎて少し潰れた紅茶味の豆乳の紙パックがそっと握られて、膝の上で斜めに傾いている。ストローの先は噛まれて潰れていた。俺は小さく嘆息する。

「お前さあ、いい加減ストロー噛む癖やめろって」

「うん」

 梓はおざなりに頷く。

「俺もその豆乳買って来たけど、いらなかったか。家から持ってきてたんだな」

「いや、今飲み終えたからいる」

 梓はのんびりとそう言って、俺に手を出した。机の上には空の潰れた紙パックが倒れた。俺は肩をすくめてビニール袋からまず豆乳の紙パックを取りだし、梓の掌に載せた。梓は俯いてカリカリと音を立てながらストローを剥がし始めた。風が吹く。男にしては艶めいた絹糸のような黒髪が、さらさらと風に揺れて流れる。真っ白なワイシャツの半袖から覗く梓の腕は骨の様で、筋肉なんてほとんどついていない。肌の青白さが真夏の強い日差しに照らされて、真冬の雪のように見える。

 俺は頭を軽く振りながら椅子に腰を下ろし、続けてビニール袋から買ってきたパンを取り出し、机の上に並べた。梓は俺のその一連の動作をぼんやりと眺めながら、再び歯を立てるようにストローを口に咥えて紙パックの中身を啜った。

 梓の長く密集した睫毛が覆い隠す目の下には、青い隈ができている。ふと、紙パックを握る指先の爪が不自然に削られているのが目に留まった。俺は眉を潜めながら梓にサンドイッチの袋を差し出した。

「……ほい」

「ありがと」

 梓は素直に袋を受け取ると、ポケットからごそごそと小銭を出して机の上に並べた。細い指で綺麗なおはじきを選ぶみたいに一枚一枚に触れて金額を確認する。

「お前さあ、」

「何?」

「いい加減夜はちゃんと寝ろって」

「寝てはいるよ」

 梓はようやく俺の目を見た。

「でもさ、考え込むとなかなか寝付けなくてさ。今回の作品展示、なんにもいい案が思い浮かばない」

「思い詰めたっていいアイデアは出ねえっつうの」

「そりゃそうなんだけどさ……」

 俺はコロッケパンの周りに巻かれた湿ったラップを手慰む。

「……誰を描いたらいいんだろう」

 梓は放心したようにぼそりと呟く。俺は指に纏わりつくラップを丸めながら、梓を流し見た。

「別に、そこまでこだわらなくてよくね? 大体、お前だったら誰でもうまく描けるだろ。あとモデルだって誰でも喜んでなるんじゃね? お前に描かれるのはそれなりに嬉しいだろ」

「僕さあ」

 梓はサンドイッチのパンの片側を剥がしながら頬杖をついた。何故サンドイッチを分解して食べようとするのか、毎度のことながら俺には理解できないけれど。

「写実画を書いてても全然楽しくないんだよね」

「は?」

 俺は眉根を寄せる。

「なんで、あんなに上手いのに」

「上手いかどうかは知らないけど、なんかね、意味がわからないんだよ。写真みたいな絵を描いて一体どうするんだろうって思っちゃうんだよ。写真みたいな絵を描くなら写真でいいじゃない。でも、先生はこれが基本だから、って言うんだよ。僕はどっちかって言うと、独創性のある絵を描きたいんだ。たとえば――」

「ピカソみたいな? ゲルニカだっけ」

 俺は美術の教科書に載っていた、ホラーゲームに出てきそうな灰色の絵を思い浮かべた。戦争のおどろおどろしさは十分に伝わってくるが、素人目にはそれ以上のものがよくわからない絵だ。

「ああ、うん、確かに独創的だけど……どっちかと言うと、僕が描きたいのは、ヨーロッパの修道院の壁に描かれたような宗教画みたいな絵だよ。まあ、細かく言うと独創性がある技法でもなんでもないけどね、あの類は。でも今の時代であれを描くとちょっと個性的と思わない? ……ていうか、君はピカソの若い頃の絵なんて見たことないでしょ」

 梓は少しだけ気分を害した様な声で言った。

「あの人、写真みたいなすごい絵を描いてたんだからね。……僕もテレビとかでしか見たことないけど」

「ふうん。よくわかんね。で、何? お前もその巨匠とかの真似がしたいわけ? 百年早くない?」

「百年後に生きてないってば」

 梓は嘆息して、空になった紙パックの穴にストローを押し込んだ。片側のパンを剥がされたサンドイッチは、マヨネーズで和えた卵サラダが露わのままで放置されている。

「先生も同じこと言うよ。ゲルニカみたいな絵は、基本がなってるから描ける芸術だってさ。だから、まだ基礎がなってない子供のうちは嫌がらずちゃんとデッサンをやりなさいって」

 かり、かり、と爪で紙パックの上端の三角の角を引っ掻きながら、梓は小さな声で呟いた。

「でもね、僕本当に写実画が好きになれないんだよ。他の人が書いた絵を見るのは好きだよ。ああ、この影をこの色を混ぜて描いているんだ、とか、ここに光を当てたんだとか、ここでは筆を寝かせて描いているんだなあ、とかさ、そう言うのを見るのはすごく好きなんだよ。でもね、描くのは好きじゃない」

 梓は紙パックの上部をべちゃりと潰した。

「なんで」

 俺は口の中で噛んでいたものを飲み下してから、やや間を開けて声を零した。言うと同時にペットボトルの蓋を開けて、緑茶を喉に流し込む。

「だって、生きてるじゃないか」

「……っ、は?」

 また茶を飲みこんでいるうちに反応が遅くなった。喉がつっかえたような心地になる。

 梓は、いわゆる天才少年と言うやつなのだろうと思う。絵が好きで、誰よりも上手で、もちろん本人も望み周りからも望まれて美術部に所属したし、コンクールでは金賞や大賞を現在進行形で総なめにしていた。

 俺は何度もこいつの描いた絵を見たことがあるけれど、本当に同じ子供なのかと、同じ子供が吐き出した世界なのかと目を奪われ、足が震えた。梓の描く絵には魂が宿っている。先刻梓は写実画を「写真みたいな絵」と言ったけれど、梓の描くそれは写真と言うよりもまるで映画の一コマの様だった。本当は動いていた時間の一瞬を、無理矢理急いて千切り取ったような迫力と哀しさが滲んでいる。

 俺は梓の絵が好きだったし、押しが強いわけじゃないのに妙に頑固な――所謂芸術家肌な梓の性格も、悪いとは思わなかった。

 けれど最近のこいつは、なんとなく妙に思い詰めているような感じがして怖いのだ。こんな風に俺が思うようになったのがいつからかも曖昧だ。

 俺達は幼稚園も小学校も一緒で、ずっと同じクラスだった。だけど、俺達がこうして親しく話すようになったのは、中学に入ってからだ。バレー部に入るような運動系の俺と文化系の梓は、それまでは大した会話も交わしたことがなかったのだ。それでもなぜか、俺には昔の梓の笑顔が妙に印象に残っているのだった。雰囲気、というのだろうか。幼い頃から、梓は人とどこか違う雰囲気を纏った子供だった。大人しいけれど、よく微笑わらう子供。男の癖に女みたいに柔らかく笑う。

 それがいつしか、あまり笑わなくなった。笑うとしても唇の一端を微かに釣り上げるだけだ。それがいつからのことなのか、思い出せない。……思春期ってやつだろうか。俺はまだ反抗的な気分になったことがないから、よくわからない。

 俺からすればたくさん褒められていいな、とか、期待されてていいなとか、描きたい風景をあんなにリアルに描けて羨ましいな、こんな風に描けたらきっと楽しいだろうな、なんて、そんな呑気な感情しかない世界の裏側までを、梓は目を凝らして見ようとしているみたいだった。一度、満月の綺麗な日に一緒に下校したことがある。俺はただ、月が綺麗だな、月の周りの空が淡く色づいて、綺麗だな、と思っただけだった。けれど梓は、月を凝視して、酷く顔をしかめていた。……その表情を、少しだけ、ほんの少しだけ……俺は、怖い、と思ったのだ。俺には梓が、傍目に見える満月の表面だけじゃなく、その裏側までを肉眼で覗こうとしているように見えた。今もこうして八月の青空をちらと眺め遣るだけの俺と、青から目を反らさない梓とでは、きっとこの空やこの日に抱いている感情もまるで違うのだろう。

「花を描くのは好きだよ。建物を描くのも好きさ。でも、人間や、動物や、虫や……とにかく、生きているものを描くのが本当は嫌いなんだ。苦痛でたまらないんだ」

「……なんで」

 俺はもう一度茶を喉に流し込んで舌を潤した。

「だって生きてるから」

 梓は、中途半端に上半分だけを潰した紙パックを睨みつけるように見下ろしながら呟いた。

「写実画は写真みたいな絵だ。その中に生きているものの時間を切り取って閉じ込める感覚が、好きじゃない。なんだか命がそこに閉じ込められてしまいそうで、怖い」

「よくわかんねえけど、」

 俺は大口を開けてコロッケパンに噛みついた。

「はんまいいにひなうえおうえ?」

「飲みこんでから言いなよ……」

 梓は嘆息して、紙パックの下部にある三角の角を剥がす作業に戻る。

「この絵さぁ、」

 梓はふと手を止めて眉根を寄せた。

「あ? 何」

 俺も梓の視線の先を追いかけて、梓の握る紙パックを上から覗き込む。

「魅力あるんだかないんだかわからないよね。昔懐かし的な効果を狙ってるんだろうけど、それにしても豆乳とぜんっぜん関係ないし。こっちの輪郭は極太の線で描いてるくせに、この葉っぱは細い線で繊細さを狙ってる。こういう一貫性のないデザイン見ると苛々するよ」

 梓は時々、既製品のデザインに文句をつける時がある。文句を言うわりに、梓はデザイン画に興味があるわけでもない。こういう時は大体、梓は俺にはよくわからない理由で苛々しているだけだ。いわゆるやつあたりってやつ。梓が言った、豆乳の紙パックに描かれた模様も、俺にとってはそこまで悪いとも思えなかった。

「はあ……」

 俺はもう一度お茶を飲んだ。

「別にいいんじゃね? それ出してる会社の偉い人がそのデザインでいいって言ったんだろ」

「ほんと、君ってそればっかだよ」

 梓は深く息を吐いた。

「ま、君と話してると色々考えてるの馬鹿らしくなるから、いいんだけどさ」

「褒めてねえよな?」

 俺の睨みを気にも留めず、梓は紙パックをぺちゃんこに畳むとパンを入れていたビニール袋に投げた。

「ごちそうさま」

「……おい。サンドイッチまだ残ってんぞ」

「食べていいよ」

「お前なあ……」

 俺は嘆息して、パンの壁を一枚失った卵サンドを指が汚れないように袋からうまく掬い上げ、卵サラダを内側に閉じ込めるようにして半分に折った。

「いい加減汚ねえ食べ方やめろよな」

「口はつけてないけど」

「そう言う問題じゃねえって」

 梓は、不意にくるりと俺に背を向けて、引き出しの中から深緑色のスケッチブックや先の尖った鉛筆を出すと、机の上に散蒔いた。そのままがたがたと机を揺らして何かを探している。やがて引き出しの奥から使い古した練り消しを取り出すと、左手の指先に摘んでじいっと見つめた。右手がゆらゆらと揺れて、机の上に転がる鉛筆を探した。鉛筆が細い指先に触れた途端、梓は乱雑にスケッチブックを掴んで俺の方へと向き直り、足を組んで膝の上で一心に何かを書きはじめた。

「……何書いてんの」

「君を描いとこうかと思って」

「はあ?」

 俺はごくりとろくに噛んでもいなかったパンの欠片を喉の奥へ押し込んだ。

「なんで俺描いてんだよ? ちょ、てかそういう事はちゃんと断ってからやるだろ普通!」

「うーん」

 梓の返事はおざなりだ。さっきの話は一体どこに行った。今さっき、写実画で生き物描くのは嫌だとか言ったのはどいつだ。俺は生き物ですらないってか。

「なんかいいこと急に思いついた」

「は?」

 本当にこいつと話すと疲れる。芸術家肌なやつってほんと、友達には向かないかもしれない。でもまあ、嫌いじゃないんだけど。

「写実画を写実的にしなければ、少しは楽しく描けるかもしれないなって思って」

「はあ?」

 さっきから「はあ?」しか言っていない俺は何なんだろうか。ふと、どんな攻撃をしても同じ言葉しか発さないモンスターを思い出して、自分がそれになったような心地がした。あ、ゲームの話。

「君の名前さ、モデル向きだよね」

「何が。どこが」

「だってさ、赤司絵哉かいやなんてさ、まるで絵に描いてもらうためにつけてもらったような名前だよね。ていうかさ、結構赤司君って絵のこと好きだよね。美術展とかよく見に行ってるし、僕何回か君の姿を美術館で見たことあるよ」

「……悪いかよ」

「いや、悪くはないよ、当然」

 梓は笑った。

「ねえ、赤司君の髪を赤く色塗ったら面白いかも」

 俺はただ眉根を寄せたまま、何も言えなくなってしまった。久しぶりに梓が心から笑ったように見えて。

 俺は頷いてしまった。梓という人間に、深入りを、した。



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