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  • 第1話への応援コメント

    男は欲張りですね。
    近づけば近づくほどお互いを傷つける。そんなことを予想もしない。ただ目の前にある物に手を伸ばそうとする。
    女にはそれが見えている。

    だけど、こんな状況になってしまうほど恋愛には強い力がある。
    わかっているけれど戻れない。

    無理矢理に感情移入させられました。
    ……よくもこんな物が書けますね。
    ああ、いらいらする。
    お酒でも飲もうかな。

    作者からの返信

    円つみきさん、ありがとうございます。

    実は今回のこの作品を書く前に、自分で『フレンチキス』という小説を書いて、あれは自分の中でもかなり気に入っている作品なんです。

    それまでとは少し違う書き方をしてみた作品でもあって、書き終わってから自分で読み返しているうちに、「こういう男女の距離感みたいなものを、もう少し広げて書いてみたいな」と思うようになりました。

    それで今回、今まで自分があまりやったことのなかった、会話をかなり中心にした物語を書いてみようと思いました。

    正直、自分でもそこまで自信があったわけではありません。

    会話が多すぎるかな、とか。
    これだけのやり取りで二人の気持ちが伝わるのかな、とか。
    説明が足りないと思われるかな、とか。

    そんなことを考えながら、とりあえず三本書いてみて、連載という形にはしていますが、一話ずつでも読めるような感じで投稿してみました。

    ただ、今回この物語で自分が書いてみたかったものは、会話そのものだけではありませんでした。

    自分の中では、男女関係になるまでの時間というものに、ひとつの「黄金期」のようなものがあるのではないかと思っています。

    会えるだけで嬉しい。
    次にいつ会えるのかを考える。
    服を少し気にする。
    何を話そうかと思う。
    手をつないだだけで少し特別に感じる。
    抱きしめられただけで、その時間がずっと残る。

    まだ何も完成していないからこそ、ひとつひとつが大きい。

    若い時だけではなく、むしろいろいろなものを経験してきた年齢になってから、もう一度そういう時間を持てるということは、ある意味ではものすごく贅沢なことなのではないかと思ったんです。

    特に熟年になれば、恋愛だけを中心にして生きることはできません。

    仕事もある。
    家族もある。
    親のこともある。
    自分の身体のこともある。

    そういう現実をたくさん抱えている中で、誰かに会うために時間を作る。

    その人に会う日は少し服を選ぶ。

    少しだけ若い頃のような気持ちになる。

    でも、若い頃と違って、その先へ進めば何が起きるのかもある程度分かっている。

    そこが今回、自分が一番書きたかったところかもしれません。

    二人とも本当は近づきたい。

    もっと触れたい。

    もっと先へ行こうと思えば行ける。

    でも、超えてしまえば、この「まだ何も完成していない時間」が終わってしまう。

    一度男女の関係になれば、きっと得るものもあると思います。

    もっと深く相手を知ることもあるでしょうし、幸せな時間も増えるかもしれない。

    でも同時に、今まで手をつないだだけで嬉しかったものが、少しずつ普通になっていくかもしれない。

    会うことそのものを楽しんでいたのに、その先を求めることの方が大きくなるかもしれない。

    だから、あえて触れない。

    あえて超えない。

    「超えられない」のではなく、「超えない」。

    それによって、この黄金期を少しでも長く残そうとする。

    ある意味では、ものすごく贅沢で、ものすごく不器用な恋を書いてみたかったんです。

    もちろん、この二人が正しいとは思っていません。

    男は欲張りですし、女だって決してきれいに割り切れているわけではない。

    男はもっと欲しがるし、女は先が見えているようでいて、それでも会いに来る。

    分かっているのに会う。

    止まった方がいいと分かっているのに、もう少し近づきたい。

    近づけば壊れるかもしれないのに、それでも離れられない。

    そういう矛盾を、なるべく説明ではなく二人の言葉のやり取りだけで出してみたかったんです。

    なので今回のコメントは、本当に嬉しかったです。

    「男は欲張り」
    「近づけば近づくほどお互いを傷つける」
    「女にはそれが見えている」
    「分かっているけれど戻れない」

    そこまで受け取ってもらえたことに、ちょっと驚きました。

    まさに今回、自分が会話の中に入れたかったものを拾ってもらえた気がしました。

    「ああ、ちゃんと伝わったんだな」

    と思えました。

    会話中心でも、ここまで二人のずるさや弱さや、じりじりした距離まで受け取ってもらえるんだということは、自分にとってかなり大きな励みになりました。

    それと、実はこの物語、まだ自分の中でも本当の意味では完結していません。

    三本書いて、ひとまず形にはなっていますが、この二人をこのままにしておくのか、それともどこかで本当に終わらせるのか。

    超えないまま続いていくのか。

    それとも、いつかどちらかが耐えられなくなるのか。

    あるいは、この黄金期そのものが静かに消えていくのか。

    まだ自分でも決めきれていません。

    どうしようかな、と今も少し悩んでいます。

    もしかすると、この二人にとっては「結末を決めない」ということ自体が、一番似合っているのかもしれません。

    「無理矢理に感情移入させられました」
    「……よくもこんな物が書けますね」
    「ああ、いらいらする」

    このあたりは、作者としてはかなり嬉しい言葉です(笑)

    登場人物にいらいらして、お酒まで飲みたくなってもらえたのなら、この二人もなかなか罪なことをしたようです。

    どうか飲みすぎない程度に(笑)

    そして、その一杯の肴にまでこの二人が残っていたのなら、作者としてはかなり幸せです。

    本当にありがとうございました。

    春風 あくび