『陰法師 -捻くれ陰陽師の怪奇事件帖-』無事に完結いたしました。
改題前から数えて足掛け三年、ようやく物語を締め括ることができました。ここまで書き続けられたのは読んでくださる方がいてくれたおかげです。ここまでの応援、本当にありがとうございました。応募中のカドカワ長編ファンタジーコンテストの読者選考期間はまだありますので、引き続き応援のほどよろしくお願いします!
そしてもう一つお知らせを。
『陰法師』と地続きの続編を公開予定です。
タイトルは『トッカイ -特殊怪奇捜査班の事件ファイル-』です。陰法師を最後まで読んでいただけた方はあっ!と思うかもしれません。そういうことです。
相変わらず趣味全開のお話になりそうです。こちらもよろしくお願いします!
以下、書き切れなかった分の補足をば。ラストまでのネタバレをがっつりしてるので読了後に読むことを推奨します。
・霞とカゲリ
カゲリは霞の心の翳りそのもの。憂が感じた「一心同体の運命共同体」はそのままの意味でした。彼女は最初から見抜いていたのです。
・霧雨篠について
霧雨篠の外見はは白面=白い面、金毛=稲穂色の髪として描写しています。篠は信太の狐から。
また、Case7にて意味深なことを呟いていた彼女ですが、仕掛けようとした“アレ”とは由季のことです。雫の成長を促すきっかけのために安倍に怨みを持つ由季に安倍家の闇を暴露したのですが、由季の暴走は流石の霧雨篠も想定外でした。手口から自分が嗾けた由季の仕業だと見抜いた彼女は自ら出張ってきた訳です。
Case10だけ見ると彼女は子を思い続けた立派な母ですが、安倍の家の在り方が歪んでしまったのは国を滅ぼしておきながら自分だけ幸せになろうとした報いとも言えます。
・霖雨のこと
最初からクズとして描くつもりだった彼についても一つだけ弁明させていただくと、安倍の家に生まれてしまった時点で彼も被害者の一人ではあったのです。
葛の葉が愛した安倍の家はいつしか権力に溺れ欲に塗れていった。そんな中力を持たず、また一族第一と教えられ、誰にも正されないまま育ったのが霖雨でした。だからこそ雫の言葉に安堵したのです。自分達が間違っていたことを知らしめられたから。彼はきっと、過ちを指摘されることを望んでいたのでしょう。