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AIに書かせた「霊獣旦那」 その4

第4章:本当の思いと、新しい夫婦のかたち

 美月は、茶屋の奥の自室で、眠れない夜を過ごしていた。父の「白澄も封印すべき」という言葉が、美月の心に重くのしかかっていた。

 白澄は、美月の様子がいつもと違うことに気づいていたが、そっと見守っていた。彼自身、炎梟との戦いで力を消耗し、不安定になっていることを自覚していたからだ。

「……ねぇ、白澄」

 数日後、美月は意を決して白澄を呼び出した。向かい合った美月の瞳は、夜の湖のように深く、白澄をまっすぐ見つめていた。

「もし、あんたを封印することで、この温泉街が、二度と妖の脅威に晒されずに済むとしたら……あんたはどうするの?」

 白澄は、静かに微笑んだ。

「君が望むなら、私は喜んで壺に戻ろう、美月。私の存在が、君やこの街にとって脅威となるのなら、それが最善だ。私の力は、契約者である君が、最も強く支配できる」

 その言葉は、美月の心を激しく揺さぶった。白澄は、美月が自分を選ぶか、街の平和を選ぶか、全てを美月に委ねていた。彼の愛情は、自己犠牲すら厭わないほど深いのだ。

「馬鹿ね……」美月は、涙ぐみながら呟いた。「あんたは、いつもそう。私が選ぶのを待っている」

 そして美月は、霞火の言葉を思い出した。

『白澄は、私と共にあるべき者。彼の傍は、私のような同種の妖にしか許されない』

 霞火は、白澄を愛していた。それは本物の愛だ。だが、彼女は常に白澄に「選ばれること」を望んでいた。過去の契約者に嫉妬しながらも、白澄の意思を尊重してちょっかいを出さなかったのも、「選ばれること」を信じていたからだ。

 しかし、美月と白澄の「契り」は、違う。

 美月は、借金という打算から始まった契約で白澄と出会った。だが、今は違う。美月は、自分の意思で白澄を選びたいのだ。

「私、気づいたわ」美月は、立ち上がった。「契約でも、街の平和でもない。私は、あんたを――白澄自身を選ぶわ!」

 美月は、白澄に駆け寄った。

「白澄、あんたは私と出会って、私を選んでくれた。私も、あんたを選ぶ。この街を守ることも大切だけど、私は、あんたがいない未来なんて、もう考えられない!」

 美月は、白澄の両頬を掴み、真っ直ぐに訴えた。

「『契り』は、形式じゃない。心で結ばれるべきものよ。白澄。私は、あんたを私の夫として、愛している。心からの、真実の契りを交わしましょう!」

 白澄の藍色の瞳が、驚きに見開かれた後、深く優しい光を宿した。

「美月……」

 美月は、迷いなく白澄の唇に自分の唇を重ねた。

 それは、契約を維持するための「義務の口づけ」ではなかった。美月の、魂からの告白であり、白澄への熱烈な愛の誓いだった。

 口づけが離れた瞬間、白澄の全身から、眩いほどの白い光が溢れ出した。その光は美月を優しく包み込み、美月の心と体が、まるで一つになったかのような感覚に襲われた。

「これは……」

「美月。君の心からの愛が、私の力を安定させた。私の霊獣の力が、完全に現世と結びついたのだ」

 白澄の力は、美月との「心からの契り」によって、以前よりも遥かに強大で、安定したものとなった。

 それ以降、『月見亭』は、単なる美味しい茶屋ではなく、「癒しの空間」として、さらに評判を高めた。店に入っただけで、誰もが心が洗われるような安らぎを感じるのだ。

 白澄の力が安定したことで、温泉街の山々を覆っていた妖の不穏な気配は消え、湯ノ原温泉は、平和で活気に満ちた場所へと変わっていった。

 数週間後、美月は蔵の中にある、霞火が封じられた壺の前に立っていた。

「霞火」美月は、優しく話しかけた。「白澄は、私がもらうわ。でも、あんたの白澄を想う気持ちは、本物だった。ありがとう。あんたが私たちを守ってくれたから、私たちは今、ここにいる」

 すると、壺の中から、微かに女性の声が聞こえた。

『……チッ。気に入らないが、白澄は、お前を選んだ。お前の愛は、私よりも強かったようだ。だが、安心しろ。もし白澄を傷つけるような妖が現れたら、私が封印を破ってでも助けに戻ってくる。……私は、これからも、白澄の相棒だ』

 それは、霞火からの、二人の愛を認める、精一杯の祝福の言葉だった。

 そして、美月の父は、結局のところ、借金完済という大仕事を娘にやらせてしまったことを商店街から責められ、家業を手伝う形で、美月の管理下で細々と茶屋を手伝うことになった。もちろん、経理には一切口出し禁止だ。

 満月の夜。

 『月見亭』の縁側で、美月と白澄は、二人並んで団子を食べながら、月を見ていた。

「本当に、夢みたいね。借金もなくなって、お母さんも元気になって、あんたまで私の隣にいるんだから」

「夢ではないさ、美月。これは、君と私が結んだ、真実の契りだ」

 白澄は、美月の手にそっと自分の手を重ねた。彼の温かい手が、美月の全てを満たしていく。

 美月は、満月を見上げ、ふわりと微笑んだ。

「ねぇ、白澄」

「なんだい、奥方殿」

 美月は、彼の顔を覗き込み、少しだけ砕けた、いつもの気の強い口調に戻って言った。

「これからも、ずっと一緒にいてよ。……旦那さま」

 白澄は、一瞬きょとんとした後、世界で一番幸せそうな、ニヤけた笑顔を見せた。

「ああ、もちろんさ。永遠に、君の旦那さまだよ、美月」

 二人の笑い声が、湯ノ原温泉の静かな夜に、優しく響き渡った。

(完)

2件のコメント

  • なんかしらんが、美月ちゃん「あんた」連呼してるw

    >これは、君と私が結んだ、真実の契りだ
    かっこいい事言おうとして、寒くなるパターンか。
    白澄が急にうっすぺらいホストに見えてきた
  • ゆるりとひかりさん、コメントありがとうございます。
    美月はもともと白澄や霞火への二人称は「あんた」ですけど、連呼されるとちょっとくどいですね。

    ホスト!(笑) こちらの本編でもチャラいホストっぽくはありましたが。すぐ好き好き愛してるばっかり言ってましたからねー。ホストの恰好もしましたし。
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