私の手元に五通の履歴書
私たちのチームで採用試験がございました。
秘密主義の我がチーム
所在地不明、詳細な業務内容不明、勤務体系不明
明かされるのはチームの存在目的と理念のみ
それでも応募して頂ける方が複数いらっしゃいました。
推薦者がいなければ存在さえ分からないチームへ名乗りを上げた方々
優秀でございます。少なくとも私より知識も技術も上でございます。
選考から漏れた方は劣っているわけでもございません。今の我がチームに欲しい人材から外れただけでございます。来年だったら違った結果になっていたのかも知れません。
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私の手元には五通の履歴書がございます。最終選考に残った方々です。
時代遅れと言われそうですが、指定された通り手書きの履歴書
熱い想いが詰まった用紙です。
私たちの仲間になりたいと夢を見た跡でございます。
採用試験のみに使用を限定された個人情報でございます。規定通りに破棄されます。
機械に入れて蓋をしてボタンを押す。裁断され、溶解液に入り完全破棄されます。
機械の前に立って、しばらく考えて机に戻って履歴書の封筒を抱きしめて・・・
もう三回目でございます。
「私が代わろうか」
見かねて声がかかります。
いいえ 私が任されたのです。私の責任で作業いたします。
そっと機械に入れて、蓋をして、ボタンを押す。
作動音が数秒して静かになりました。
私が夢のかけらを処分いたしました。
どこにでもある選考試験
こんなところで思い悩む私は甘いのでしょう。まだじゅうななさいでございます。
私よりもあらゆる面で優れた方々
心配する方が失礼ですね。
相談に乗って頂いた方に背中を押されてようやく気持ちが前向きになって参りました。
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私たちのチームは10月から新年度を迎えまして、新しくひとり仲間が増えました。きっと近いうちにエッセイにも登場するのではないでしょうか
筆が止まっておりまして、久しぶりの更新となりました。
恋する街角~アリスcafeへようこそ~ 【リアル恋愛短編集】
第12話 恋する街角【ふたりを繋ぐもの】
https://kakuyomu.jp/works/16817330663734461583/episodes/16818093087019424429前回より話題にしております高校生カップルのお話でございます。
可愛らしいお話のはずが、私たちが絡むとコメディになってしまい・・・
お許しくださいませ