「皆さんの暮らしの安全を守るのが、私達の約目です」
笑顔で、私はそんなことを言う。
すると、テレビカメラの後ろにいる観覧客やスタッフが、拍手で私を称えてくれた。
現在、お昼の生放送の真っ最中。私はこの一ヶ月、広報活動の一環としてこうして様々なメディアにお邪魔しては自分たちの活動や“能力”の事を皆に知ってもらうべく話をしている。
時に能力で司会の方を宙に浮かせたり、時に特対職員としての志を語り、世間の持つ超能力のイメージを最大限良いものにするよう努めていた。
「いやぁ…若いのに立派だねぇ。おじさんも見習わなくちゃなぁ。ブハハハハ!」
「いえいえ…」
司会の男性が豪快に笑う。額のシワが印象的な、弁の立つ方。
なんでも、様々な番組をお持ちのようで…。芸能界でもかなり幅を利かせている方だとか。
テレビなどほとんど見ない私は知りませんでしたが、確かに頭の回転は早いなと感じた。
そして喋りが上手という点は、まるで“彼のよう”だ…と。
「えー、それじゃあね! 次の質問に移りたいと思いますが…」
「はい」
「好きな男性のタイプ! なんて聞いてみようかな、なんてね」
司会者から飛び出したのは、能力や特対には一切関係ない、まさかの私のパーソナルな部分に迫る質問だった。
これまでも私的な質問はいくつか受けてきたが、ここまでストレートな内容は初めてだった。しかも生放送で。
「…」
「うん! 全然時間使ってくれていいよ。おじさん“あみん”よりも待つから。ブハハハ!」
どう答えようかと私が考えていると、おじさんが良く分からない例えを話す。
さて、どうしたものか…。
質問された瞬間、私の頭の中にはすぐに彼の顔が浮かんでいた。
人物のチョイスには全く困っていない。
ただ、改めて“タイプ”と聞かれると答えるのが難しい…。
いっそ名前を言ってしまおうか…なんて考えが首をもたげるが、それをしてしまうと引かれてしまうのは明白なので止めた。
タイプ……。
彼は…優しい。それに頼もしい。
テレビ番組に出るようになって会った、キラキラした男性アイドルとは違った顔立ち。でもカッコいい。
話も面白いし、強い。
カテゴライズがとても難しい方だ。強いて言うなら、“塚田卓也”というタイプとしか…。
「悩むねぇー!」
この場ですぐにでも無難な答えを出さねばならない私は、一生懸命考えた末に一つの回答を述べた。
「私よりも…強い方でしょうかね」
「うん、そうそういないね!」
会場がどっと湧いた。
むぅ…。真面目に答えたのに。
どうせなら、彼がこの生放送を見ていますように。
そんなことを考えながら、私はその後も笑顔を振りまいたのであった。
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たまには皆が見れるようにと。
SSはこんなの書いてますよー、という…報告?
ラノベ買うと付いてくる、ペラ1枚の短いヤツ。
本編に書くほどでもない掘り下げなんかを限定公開しておりました。
あまり書けなくてゴメンなさいね…