明日、12月24日(朝)に短編を投稿する予定です!
が。
その前に、テストと自己紹介を兼ねて掌編を書きました。
よかったら読んでいって下さい!
以下、本文スタートです。
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「――大変だ! ソノコのたて笛が盗まれた!」
静まりかえる教室。みんなの視線がいっせいにオレに向けられた。
オレは高校生《こうこうせい》探偵の工藤《くどう》マコト。幼なじみで同級生の毛利ソノコのたて笛が盗まれた!
この謎はオレがぜったいに解いてみせる! じっちゃんの名にかけて!
「そうなの。体育の時間から帰ってきたら笛がなくなっていたの」
「誰よ、たて笛を盗んだのは! 生かしちゃおけない、生皮剥いで干物にしてやるわ!」
そんな恐ろしいことを言っているのはソノコの親友である鈴木ラン。頭に血がのぼってヤマンバみたいな顔になってる。ヤマンバ見たことないけど。
オレは教室の中を見渡して言った。
「犯人はこの中にいる!」
「なんだって? それは本当かい?」
クラスメイトの男子、田中キュウベエが驚いて飛び上がった。
本当に3メートルくらい飛び上がった。オレはこいつが宇宙人ではないかと疑っている。
「ああ。間違いない。謎はすべて解けた!」
オレは天才的な頭脳をもって謎を解いた。
なに言ってんのコイツ? 的な目で見てくるクラスメイトたちにオレの推理を披露してやる。
「まずは密室のトリックだが……」
「待って。この教室に鍵はかかっていないわ」
「そう。つまり密室ではなかったということだ」
ソノコと鈴木さんが白けた目でオレを見てくる。
待って。もうちょっとで解けるから。
「実はソノコのたて笛は以前からちょくちょく無くなっていた」
「常習犯? この教室やばくね?」
「しかも決まって体育の時間の後に無くなっていた。女子と男子は体育が別だから、男子生徒の誰かが盗んでいたはずだ」
くくく。みんなオレの推理に驚いているな。
……というかソノコ。お前が犯人じゃね? みたいな目でみるのやめてくんない?
「今日の体育のとき遅れてきた男子がひとりいた。そいつは大便していて遅れたと言っていたが……」
「まってくれ。ボクの言ったことは本当さ。大便のキレが悪くて……」
「男子は本当に大便で遅れても『大便いってました』とか言わねえんだよ!」
ビシィ、っと田中キュウベエに人差し指をむける。
田中は真っ赤なつぶらな瞳で、なに考えているのかわかんない顔をしていた。
「そうかい、気づいてしまったのかい。――ボクが宇宙人だってことに!」
「そこまでは言ってねえよ!?」
ハッ。やはりそうだったのか。田中キュウベエはオレの推理どおり宇宙人だったのだ。
「でもどうして宇宙人がソノコのたて笛を盗んだのよ!」
「ソノコのDNAデータがほしかったのさ。唾液から採集されたデータを元に彼女のクローンを作り出すためにね」
「え。ちょっとなに言ってるかわかんない」
そのとき、教室の外がピカーッと光った。グラウンドに謎の円盤が着陸する。
「じゃあね地球人たち。ボクたちはソノコのクローンを使って地球征服をはじめる!」
田中キュウベエの体がふわりと浮くと、教室の窓からグラウンドの円盤に飛んでいった。
そうか。あれはやつが呼んだ宇宙船だったのだ。
「マコト……」
「バーロォ、泣くんじゃねえよ。お前のたて笛はオレが必ず取り戻す」
実は、ソノコに隠していることがあった。
――ソノコのたて笛がたびたび無くなる件、あれはオレの仕業だったのだ。
つまり、
(キュウベエが持っていった笛。その唾液はソノコのものじゃない! オレの唾液だ!)
このままではオレのクローンが作られて、オレがソノコのたて笛を舐めていたことがバレてしまう!
「……そんなことはさせねーよ。じっちゃんの名にかけて!」
「アンタのおじいさん、このあいだ下着ドロで捕まってたじゃない」
グラウンドの宇宙船からはキュウベエとクリソツな宇宙人が出てくる。今は校長に名刺を渡している。
だが、オレが奴らの陰謀を止めてみせる。たて笛を取り返し、オレのやらかしを隠蔽してみせる。
「真実は、いつだって闇の中さ!」
そうしてオレたちの戦いは、これからも続いていくのだった!
了