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彼らのその後について(第三章を読了された方向け)

第三章のゲストキャラのその後についてです。
彼らはたぶん今後本編には登場しないと思うので、簡単にその後の人生について紹介したいと思います。
第三章を最後までお読みになってからご覧ください。



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【エンリクス】
あの後は『西』に留まり、フィオレンツァの下で船乗りになりました。
長じてからはプラニトゥーデ家お抱えの船問屋としてひとかどの成功を収めます。
出自を隠したまま所帯を持ち、隻腕の義母の世話をしながらそれなりに満たされた人生を送りました。
そして、事業を息子たちに譲って隠居したあと、当時の平均寿命よりもすこしだけ長い生涯を終えました。
自分が『東』の皇族であることは家族も含めて誰にも言わなかったはずです。生きているうちに『東』の土を踏むこともありませんでした。
青年期にフィオレンツァから真実を伝えられますが、過酷な運命から遠ざけてくれた父と、自分に代わってその役目を引き受けてくれた叔父への感謝を深めるだけでした。
一方デキムスに対しては成長するにつれて複雑な感情を抱くようになりますが、それでも毎年欠かさずに便りを出すなど、最後まで肉親としての愛情は抱いていたはずです。

【デキムス】
ルシウスの皇帝即位と同時に元老院議長の職を辞し、帝都の屋敷も引き払って隠棲の道を選びます。
(自分の派閥を裏切った時点で政治家としての生命は断たれたも同然なので当たり前ですが……)
現役時代のギラギラした覇気は嘘のように消え失せ、年に何回か『西』から届く手紙を楽しみにおだやかな老後を送りました。
身体は丈夫そのものなので、兄である皇帝と違って大病を患うこともなく、90歳くらいまで生きたあと老衰で亡くなりました。
とうとうエンリクスと再会することはありませんでしたが、それも含めて納得して世を去ったことでしょう。
晩年はルシウスとも多少は打ち解け、たまに隠居先を訪ねたときには茶を飲みながらとりとめもない話に興じることもありました。

……
いかがでしょう?
劇中では無残に人が死んでしまうことも多いこの物語ですが、
それだけに無事に退場できた人たちにはささやかでも幸せな余生を送ってほしいな~と思うのです。

せっかくなので、途切れ途切れに触れたデキムスの過去についても少々。
若い頃、デキムスは父親である皇帝に「無能な兄貴ではなく俺を跡継ぎにしろ!!」と迫ったんですね。(いやなガキだ…)
当然聞き入れられるはずもなく、それどころか首を絞められて殺されかかったのがトラウマになり、
父親(ルシウスにとっての祖父)と瓜二つのルシウスを過剰なまでに警戒するようになった…という訳です。
本編で掘り下げられればよかったのですが、これ以上エピソードを増やすと間延びしすぎるということで割愛させていただきました。

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