『シダル』の主人公である勇者の仲間達は男ばかりで、旅路を華やかにしてくれる可愛い女の子がちっとも出てきません(魔法使いは性別不明ですが、あれは妖精なので除外します)。昨今のライトノベルの流行を見るに、それではつまらないという方も多いのではと思います。
実は構想段階では、吟遊詩人を女の子にしようかと幾度も考えました。或いは魔法使いもそうです。仲間達の男女比がある程度バランス良くなるように考えていた時期があります。
けれど最終的には、彼らを女性キャラクターにはしませんでした。それは勇者の旅の仲間を「主人公の恋人候補」にしたくなかったからです。
剣の仲間達はとても仲良しですが、例えばその中に一人でも魅力的な異性がいれば、それは途端に純粋な友情ではなく、恋の行く末を想像させるような関係性になりかねません。小さな子供同士ならともかく、勇者は大人なので尚更です。
それはそれで物語として面白くはあるのですが、そうすると仲間達を見る時に、読者様によってはヒーローとヒロイン以外が「おまけ」のように見えてくることもあるでしょう。
そうなってほしくなかったので、第一部では恋愛に繋がりそうな要素を省いてきました。恋愛の前にまずは友情の土台を築くことで、いずれ彼らが恋をするような場面が訪れても、仲間は引き立て役でなく、ずっと大事な仲間であり続けてくれるかなと思ったのです。
──そう、それ故に第一部ではそのようにしてきました。おおよそ紙の本一冊分、ここまでお付き合いくださって誠にありがとうございます。
明日の連載からは、第二部が始まります。