『幽世のリリン』第52話 「夜のドアを叩くもの」 を更新しました。
翔太と淳が下校した“あの不穏な夕暮れ”から数十日──
梅雨の湿りを帯び始めた水城の夜に、北藤家へ“訪問者”が現れます。
インターホン越しに名乗ったのは、
『海野美優さんが、こちらにいらっしゃるはずなんですが』
……と、しわがれた声の大男。
美優は花が咲くように笑い、その男に飛びつきます。
翔太の知らない“家族の匂い”が、一瞬だけ部屋に満ちる夜。
しかしこの来訪は──
懐かしさと同じくらい、“異界の重さ”を連れてきます。
大熊英治と高木英人。
謎の組織・国際魔術会議(ユニマコン)の“ただ者ではない二人”が北藤家に上がり、
その空気がほんの少し、“日常”からずれていく。
翔太が感じた胸の奥のざらつきが、
これから訪れる嵐の前触れなのか、
読者さまにも薄く伝われば嬉しいです。
ぜひ読んでいただければ幸いです。