https://kakuyomu.jp/works/16816700426032499179↑高校2年生にもなって前世が勇者だったことを思い出してしまった……〈現代日本で始める元勇者と元魔王の成り上がりダンジョン攻略記〉
※第68話「修学旅行1日目-夜-」のこぼれ話です。
第68.5話「大は小を兼ねる?」
秋篠古都は目の前の現実に打ちのめされていた。
「ん? どうしたのよ、古都」
新野舞桜は前かがみになって下着を脱ぎながら問いかけてくる。
どうしたもこうしたも、たわわに実った二つの果実が古都に絶望的なまでの戦力差を見せつけていた。
自らの胸元に視線を向け、ぺたりと手を当ててみる。
まったくないわけではないと自分では言い聞かせてきたものの、比較対象が悪い。もはやないに等しいのではないか、と古都はがっくり項垂れる。
「……土ノ日くん、小さくてもいいのかな」
思わずそんなことを口にしてしまい、ハッとして新野を見ると彼女はニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「古都、もしかしてけっこうムッツリ?」
「あっ! ち、違うよ!? そういうことじゃなくてっ!」
「じゃあどういうことなの?」
「そ、それは……そのぅ……もぉ! 舞桜ちゃんのばかっ!」
「ごめんごめん。拗ねないでってば」
むっすぅーと頬を膨らませ、古都は一人で脱衣場からお風呂場に入る。追いかけてくる新野から逃げるために少し速足で歩いて、湯船に入る前に洗い場へ向かった。
「ちょっと、古都。そんなに急いだら転ぶわよっ!」
「わ、わたしそんなにどん臭くな――」
つるんっ。
洗い場から流れてきた泡を踏んで見事に足を滑らせ、古都は思いっきりすっ転んだ。足が天井を向くほどの転びっぷりで、後頭部から床に落ちそうになる。
あ、死んだ……。
思わずそう思った古都だったが、後頭部に感じたのは柔らかな弾力。
「痛ったぁ……。まったくもぅ、だから危ないって言ったのに」
どうやら新野が身を投げ出して受け止めてくれたようで、古都は冷や汗をかきながら安堵の息を吐く。
「あ、ありがと、舞桜ちゃ……」
言いかけて気づいた。
自分の頭が、新野の谷間にすっぽりと収まっていることに。
「やっぱり大きいほうがいいに決まってるよね…………」
心地のいい弾力感に包まれながら、古都はそんなことを呟くのだった。