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時の残光 -追悼・豊田有恒-

去る11月28日、作家・脚本家の豊田有恒先生がご逝去されました。享年85歳。

ラノベ世代のお若い方々にはあまり馴染みが無いかも知れませんが、我々オッサン世代には頗る親しみのある先生で、アラ還世代には草創期の国産アニメの脚本家として、アラフィフ世代では『宇宙戦艦ヤマト』の共同原案設定者や本邦の時間SFや歴史改変SFの第一人者としても馴染み深いかと思われます。
ちなみに参加されたアニメ作品はざっと挙げただけでも鉄腕アトム、エイトマン、スーパージェッター、宇宙少年ソラン等、錚々たる面々で、SFが多いですね。

そもそも御本人がSF指向の強い方だったらしく、脚本家と並行して小説も物されており、とりわけ"タイムパトロールもの"の第一人者、P.アンダースン作品の翻訳もされていた関係から時間ものSFが多いようです。初期代表作『タイムパトロール』シリーズ、その系譜ながら後世の架空戦記ものの魁となった『大戦争』シリーズ、そこからやがて歴史物へとシフトして、現代の和風ヒロイックファンタジーの先駆となった『ヤマトタケル』シリーズ、当時提案され始めていた騎馬民族征服説を基にした歴史小説『倭王の末裔』。
どれも頁をめくる度に先の読めない展開にワクワクしたものです。
私が最初に目にしたのがおそらく、当時は割と何処の図書館や書店にも置いていた鶴書房のSFペーバーバック(新書版のソフトカバー本)のシリーズで、『時間砲計画』(続編もあったかも)……やっぱり時間ものですね。

尚、1980年代にパラレル・クリエーションというスタジオを主宰されており、アニメ・特撮デザイナーの出渕裕や小説家の岬兄悟などが所属していました。あと火浦功は所属はしていませんが入り浸っていた模様。少なくともこのスタジオがあったことで『機動警察パトレイバー』と『未来放浪ガルディーン』が世に出たのは間違いないので私はその点でも豊田先生に足を向けて眠れません。あと火浦先生は早よ『ガルディーン』の続き書いて下さいせめて俺が生きてる間にどうかお願いします。(一部敬称略)

ちょっと話が逸れましたが、年の瀬に訃報を目にするのは毎度のこととは言え堪えます。魂が解き放たれた今、タイムマシンで古代日本へ飛んで歴史の謎を思う存分調査されているのでしょうか……その結果を読むことが出来ないのは只々残念なことですが、先生が残された作品はこれからも灯り無き道を進む後進を照らすことでしょう。

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