大学を辞める話
原稿(ありのままです)
- 作者
- misaka
- このエピソードの文字数
- 6,984文字
- このエピソードの最終更新日時
- 2024年12月29日 21:06
今日、大学を辞めます。
これは、今日1日考えたこと、感じたことを書き留めたメモみたいなものです。
物書きならば、すべての経験を自身の“書”に活かすべき。そんな考えのもと、大学を中退する今の自分を書いて残そうと思います。
今は、深夜2時です。
今日の昼13時。担当教員と会って話した後、退学届に署名と印をもらう予定になっています。
当然、緊張で寝付けません。
だからこうして、今の気持ちを書こうと思いました。
まずは心臓の動きを記録しておこうと思います。
ドキドキ、とかでは無いんですよね。グッと心臓が押さえつけられてるような、締め付けられるような…? ただ静かに、心臓が苦しそうにうめいている…みたいな感じでしょうか。
眠ろうとして目を瞑ると、本当に、余計なことばかりを考えてしまうんです。その点、こうして書いていれば、考えも整理できて、気も楽です。
眠くなるまで執筆を続けようと思います。今のところ眠れる気がしないので、徹夜で書き続けているかもしれませんが…。
半分自分に向けたメモなので、脈絡なく入学の話でも思い出してみます。
私は、1年浪人して今の大学に入りました。
浪人した理由は、どうしてもこの大学に行きたかったから! …では無いんですよね。
そもそもの話、私には将来の夢というものがありませんでした。
小中高と、事あるごとに書かされた将来の夢。ある時はマラソン選手、ある時は漁師、またある時は教師…。
こう書いてみれば自分でも驚くほど、一貫性がありませんね。
とりあえず、その時々、近くにいた友人の将来の夢を書いていた覚えがあります。
ただ、1つだけ。フリーターになりたいという、漠然とした希望だけはありました。ついでに、この夢。今も変わっていません。
恐らく、他人よりも“未来”について考えるのが苦手なんだと思います。
いつか来る日のために貯金をする。いつか来るなにかのために、備える。そういったことが、全く持って無駄に思えてしまうんです。
でも、こんな自分の考えが間違っていることは、周囲の友人や家族を見ていれば分かります。
でも、どうしても、実感が湧きません。未来については、周囲の人々と同じ様に感じて、考えることが出来ないんですよね…。
結果、刹那的な生き方しか出来ないんです。今が良ければいい、みたいな。人からすれば嘲笑されたり、ひょっとすと怒られたりするような、終わってる考え方ですよね。
実際、考えを改めるように言われたこともたくさんあります。ですが、中々変えられません…。家族や友人には、呆れられていることでしょう。
でも、彼らが「わけ分からない」と言うように、私も彼らが何を考え、言っているのか、わけが分かりません。
そして間違っている方の私が考えを変えられない限り、一生、未来については平行線の議論になりそうです。本当に申し訳ないし、情けない…。
なんでこんな話になったんでしたっけ…?
スクロールしてみて思い出しました。将来の夢の話からでしたね。
とりあえず、私には将来の夢がなく、フリーターで良いかと考えていました。当然、受験勉強なんてしておらず、センター試験(当時)はボロボロ。体裁で受けた大学も、見事に落ちました。
じゃあこれからバイト先でも探すか、と思っていた矢先、両親から言われたんです。大学には行って欲しいと。もっと言えば、先生になって欲しいと。
特にやりたい事があったわけでもないですし、人に何かを教えたり、子供の面倒を見るのは好きでした。
世話になった親が言うのであれば…と、目指した大学が、今通っている大学でした。
一応、国公立の大学です。勉強を頑張ったあの頃の自分を褒めてあげたいです。
このとき、現役合格する人たちの凄さを知りました。授業を受けて、部活もして。そのうえであの勉強量を確保していた…。世の現役生たち、すごすぎです。
もしこれを読んでいる方の中に現役生がいれば、自分は凄いことをしてるんだと自信を持って、誇って下さい。
とまぁ、そうして行くことになった大学。大学名は伏せますし、都道府県も伏せておきます。今は大阪在住ですが、当時は…。
先生を目指す以上、学部は教育学部でした。
人並みに勉強して、大学に行けた。このまま普通に卒業できる…と、思ってたんです。自分も、ちゃんと卒業するつもりでした。
意気揚々と学生ライフを満喫し、サークルにも入って。この時に初めてTRPGを知り、シナリオを書く楽しみを知りました。そしてそれが今、私が小説を書いている原点だったりもします。
浪人しただけあって、私は決して優等生ではありませんでした。それでも友人たちの助けも受けて、どうにかフル単で2年間をやり過ごしていました。
ですが、3年生(3回生)の夏、事件が起きます。
教育学部では、教育実習に行かないといけないんですよね。そして、私の大学では2回、長期にわたって教育実習を受けなければなりません。
その1回目の実習があったのが、3年生の時でした。
もう薄々お察しかと思いますが、この実習がターニングポイントです。
実習の際、教育現場の難しさを知ることになったんですよね…。
それに、実習の際に受け取ってもらった先生と色々と行き違いがあったりもしました。
計4週間行われた実習。3週間目からは家を出るのも大変だったことを覚えています。不登校…かは分かりませんが、まさか大人になって「学校に行きたくない」となるとは…。
自分のメンタルの弱さと不器用さが、ただただ申し訳ない…。
結果的には実りある実習とはならず、それがトラウマになって、2回目に行けなくなってしまいました。
これが、大学中退の主な理由になります。
卒業のために必要な単位は、教育実習(2回目)と、卒業論文だけ。それ以外は、フル単でここまで来ていました。
が、どうしても、どうやっても、実習に行けない…。
時間が解決してくれる。そう思って休学もしましたが、変わらず。むしろ、苦手意識が強くなる一方です。
今では学校や実習に関わる地名や単語を聞くだけで、気持ち悪くなりほどになってしまいました。
でも、人に何かを教えたり、子供の面倒を見るのは相変わらず好きです。学費も払ってきたし、学校を出れば教員免許+幼稚園教諭の免許も取れる。
休学している間、たくさん言われました。
「もったいない」
って。私自身も、そう思います。が、もう本当に、どうやっても、教育実習に行けないんです…。
両親からも、友人からも、励まされ、感謝の念に絶えない。なのに、その期待に応えられない。申し訳ないやら、恥ずかしいやら、情けないやらで、結構真面目に死ぬことを考えていたりもしました。
いえ、まぁ、その気持ちは今も多少はあります。が、どうにか周囲が…特に親が理解を示してくれて。最後まで(今も、ですね)納得はしてくれませんでしたが、それでも理解はしてくれました。
お陰で、少しだけ、気は楽です。少なくとも今すぐどうこうしようとは思わない程度には、心を落ち着けることができました。
ドラマや小説のように、困難に立ち向かって強くなる! …なんて、本当はできないんだなと強く実感させられた気分です。
未来について話したときも触れましたが、多分、私は器用な方ではないんだと思います。
自分の中で、折り合いをつける。
多くの人が簡単に出来てしまうそんなことが、とても苦手なのかも知れません。
だから、私の場合、諦めて、逃げ出して、回り道をすることでどうにか壁と向き合おうと思います。
まぁ、もしかすると、この前の壁は永遠に横に続いているのかもしれません。いつか、「乗り越える方が楽だったなぁ」「大学、卒業していれば」と後悔する日が来るかもしれません。その確率のほうが圧倒的に高いことも、理解しているつもりです。
それでも、残念ながら生きている限り何かとお金がかかります。学費も、馬鹿になりません。もう、立ち止まってはいられないようです。
だから私は、大学を辞める選択をしました。
…今、チラッと左上の時計を見たら、朝4時でした。
眠くは、無いですね。どうしよう…。経験上、ぼーっとしていると、良くないんですよね。暗い方、暗い方に考えてしまうので。
と言うより、今寝て、果たしてきちんと起きられるんでしょうか。わざわざ教授に時間を取ってもらって面談をするのに、寝坊・遅刻なんできないですし…。
でも、確か、寝不足も精神的には良くないんですよね。
とりあえず、今から眠る努力をしてみようと思います。
きちんと起きられたら、次は家を出る前。もしくは電車の中で、その時々感じていること、思っていることを書いてみようと思います。
大学中退という経験を、無駄にしないために。忘れないように、ですね。
電車に乗りました。
こうして気持ちを書いていたおかげか、幸いにも2時間ほど、睡眠することができました。
クリアになった思考で、またこうして書いていこうと思います。
道中、そして今も。意外なくらい、これと言った感慨はありません。と言うより、あまり実感が湧かないんですよね…。
ああ、今からゼミの時みたいに教授と会って、署名してもらうのか〜。ぐらいの。どこか浮ついた気持ちです。
世は春休みですね。この時間に電車に乗っても、乗客は多いです。席は埋まっています。これなら車で大学に行けば良かったかも…?
ですが、今の浮足立った心持ちで長距離を運転できる気もしないので、電車で良かったような気もします。
このままのんびりと、大学に向かいましょう。
空は、曇りです。風も強くて、少し厚着をしてきて正解でした。
荷物に忘れ物は…無いはずです。印鑑、筆記用具、学生証、最後に退学届。筆記を忘れていることに書きなから気づきましたが、多分、大丈夫なはず。
電車の乗り継ぎ駅につきました。歩きスマホは良くないので、一度区切ります。
吹きさらしのベンチで、電車を待ちます。
このままだと早く着きすぎてしまうので、1本後の電車に乗ることにしましょう。向こう(大学)で時間を潰せるほどの心の整理は出来ていません。
なので、冷たい風を浴びながらでも、駅で時間を調整しましょう。
電車に乗る時間が長いこともあって、私は座れる確率の高い先頭車両に乗ることが多かったような気がします。
あと、朝はなんとなく、知り合いと会いたくないっていう理由もありました。その点、改札から最も遠い先頭車両はうってつけですよね。
でも、たまに私と同じ考えの同学科の人もいたんです。後の友人ですよね。退学について気を使わずにずけずけと聞いてくる彼には、実はかなり救われました。
退学って、かなり繊細な話だったみたいで。家族や友人、お世話になった先輩などがめちゃくちゃ気を遣ってくれました。
嬉しい反面、気まずそうに聞いてくるあの感じがとても苦手でした。あの、なんとも言えない雰囲気になるのが嫌で、自分から触れるわけにもいかず。
今思えば、その態度がより一層、気まずさを助長していたのかもしれません。負のスパイラルですね。
そうして気を遣わせてしまっている申し訳無さも、大学を決意する後押しになったと言ってもいいはずです。
いずれにしても、このままではいけないという漠然とした焦りがありました。
実習に行こうと無理をして、なお一層、実習に行けない精神状態になったこともあります。
このままでも大丈夫だと現状を楽観する刹那的な自分と、いや無理やろと周囲の声を復唱する自分。後者が正しいと分かっていて、それでも。今に至るまで一歩が踏み出せませんでした…。
自分では、ここまで思い込むような性格ではないと思っていたのですが、人生、ままなりません。
一駅、また一駅と、大学の最寄り駅が近づいてきます。
こうして書いてみて、ようやく心臓が今朝の、ギュッとなっている感覚に近いことに気づきました。
さすがに、緊張してきました。
ですが、ここ数年、考えて、考えて、考え抜いて導き出した答えです。必ず後悔すると分かっていて、それでも選んだ遠回り…後戻りする道。
恐らく今のこの気持を体験出来るのは限られた人間だけだとどうにか自分を納得させて、緊張を紛らわせようと思います。
ふと思ったのですが、死地に向かう人々はこんな感じなのでしょうか。
死ぬとわかっていて、それでも自分で道を選んで。でも、いざその時になってみると、覚悟とかはありません。現実感もありません。ただ自分を納得させる言葉だけを探しています。
この期に及んで尻込みしそうになっている自分に気づいたところで、次が最寄り駅のところまで来ました。
いよいよ、教授のところに向かいます。
逃げるな、自分。
…ここまで後ろ向きな逃げるな、も、そうそう無いですね…。
電車を1本遅らせたのは誰ですか?
おかげで、遅刻しそうになったじゃないですか。早すぎるのも良くないとはいえ、約束の時間丁度に到着するのは、あまりよろしくないような…?
とまぁ、変なテンションで書いてみましたが…。
はい。ついに、先ほど。退学届を提出してきました。受理されるまではもう少しかかるそうですが、私の方で関与できる部分はもうありません。
ちょうど今、帰りの電車に乗りました。
今の気持ちを率直に表すなら、やはり、スッキリ! でしょうか。でも、その言葉からは想像できないくらいの後ろめたさありますね。
でも不思議と、スッキリしている…。ずっと悩み続けた退学案件が解決したからでしょうか。
最近、似たような感覚味わったなと思ったら、あれですね。大長編作品の完結済みボタンを押したときの感覚に近いです。
もう後戻りできない。そんな感じ…でしょうか。
でも、ここに至るまでにたくさん悩んだからでしょうか。後悔、という感情は今のところありません。でも、いつか、この決断を後悔する日が来るんでしょうね。間違いないです。
まあ後悔は、その時の自分に任せましょう。多分、それを感じている頃には、今とは違うどこかにいると思うので。
個人的には、立ち止まっているよりは遥かにマシだと思います。良い、ではなくて、マシという言い方しかできないんですが…。
教授からは激励のお言葉を頂きました。休学するときも、前に退学を相談したときも。
私の気持ちに寄り添い、一定の理解を示してくれながら、それでも私の身を案じ、何度も翻意を促してくれました。私なんて、教授からすれば赤の他人でしかないはずなのに。親身になって下さった教授には、感謝しかありません。
いつか“きちんとした大人”になって、その成果をご報告したのち、誇ってもらえるような。そんな元学生になりたいものです。
学生生活。実習と退学について悩んだ日々はただただ苦しかったです。
それでも、結構、楽しかったんですよね。勉学はからきしでしたが、大切な交友関係も持てましたし、何より、こうして物を書く楽しさ、趣味を見つけられた場所でもあります。
お金と時間のことを考えず、人生という長い目で見たとき、大学での日々は必ずプラスにはなるのかなと思います。
今気づきましたんですけど、これこそ、私が案外後悔していない理由なのかもしれませんね。
退学しても、自分に残っているものがある。大学に行ったことはまったくの無駄ではなかった。
そう思えるからこそ、後悔の念がないのかも?
もうすぐ乗り換えの駅。ここで少し筆を置きます。
乗り換えました。
退学届けを出した手前、もう気持ちはだいぶ落ち着きました。今さら緊張しても、ですもんね。あるいは、脳が勝手に考えないようにしているのかもしれません。
脳には、心を守る機能がある。大学で知ったことです。忘却、昇華、発散…。いろいろあるので、興味のある方はぜひ調べてみて下さい。結構面白いです。
とりあえず、さっきまで悩んでいたのが嘘みたいに退学からは意識が逸れていて、今はもう、明日のホワイトデーに何を買おうかなと考えしまっています。
どこかで語った気もしますが、私、出不精で。退学をしに外出するなら、ついでに買い物もと考えていました。
もしかしなくても自分、余裕あるな? と思っていたのが、このエッセイを書き始める少し前。日をまたいでいざ眠ろうとすると、ダメでした。
でも、喉元過ぎればなんとやら。迷惑をかけた家族への手土産のことで一杯です。
もうそろそろ自宅の最寄駅。最初にメモ書きだと申し上げたとはいえ、結局、何が言いたいのか分からないエッセイになってしまいました。
それでも、こうして文字にして、考えを整理(※できていたかは分かりませんが…)してみてみると、驚くほど平静を装えた気がします。少なくとも、間違いなく、気は紛れました。
きっと今日のことは、事あるごとに思い出されるんだと思います。それこそ、寝る前に見つけてしまった、指のささくれみたいに。間違いなく春に苦手意識を持つようになりましたし、教育というものに対する距離感も尋常ではありません。
テレビや会話の中でそれらの単語が気になって、夜も眠れなくなる日もあるでしょう。
そうして、寝付けない日。今日という、人生最大の黒歴史を振り返るときに、このエッセイが役に立てばと思います。
もう駅なので、この辺りで締めようと思います。
また落ち着いた時に考えたこと、感じたことがあれば、別の形でお伝えできればいいなと思います。
最後になりましたが、長々と付き合って頂いて、ありがとうございました! 今日からまた、前を向いて生きていこうと思います!
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小説情報
- 小説タイトル
- 大学を辞める話
- 作者
- misaka
- 公開済みエピソードの総文字数
- 6,000文字