スパゲッティ

 本日のお題は『スパゲッティ』です。『パスタ』という呼び方だとペンネやラザニアも含んでしまいますので、本日は『スパゲッティ』にこだわります。


 スパゲッティというと無性に懐かしい響きがしますね。私の育った家庭ではほとんどの食事が和食で、洋食は滅多に出てきませんでした。ですから、スパゲッティは憧れから自分でレシピ本を手に作ったのが最初でした。


 ぺペロンチーノから始まって、ボロネーゼ、アラビアータと挑戦し、やがて喫茶店で出てくる鉄板に乗った熱々ナポリタンは大好物のひとつになりました。

 実は子どもの頃、海鮮が苦手だったので、ボンゴレやペスカトーレといった海鮮のスパゲッティは食べたことがありません。


 そんな私ですら海鮮のスパゲッティで魅了した、ある映画があります。

 リュック・ベッソン監督の映画『グラン・ブルー』です。

 世界記録に挑む二人のダイバーと、海を愛する男を愛した女の物語で、実在のダイバーをモデルにした映画です。シチリアの青い海は、場面ごとに様々なブルーを見せます。煌く輝かしい青かと思えば、どこまでも薄暗い青だったり。


 二人のダイバーのうち、一人はエンゾという男なんですが、彼を演じたのは後に映画『レオン』などで活躍するジャン・レノです。

 彼がとても魅力的でした。素晴らしいダイバーであり、ママに頭のあがらないイタリア男を見事に演じきっています。


 映画のワンシーンに、彼らが海辺のレストランでシチリア島名物『海の幸のスパゲッティ』を頬張る場面があります。

 エンゾの人間らしい面白みがのぞける場面なのですが、そのときのスパゲッティが本当に美味しそうでした。潮風に吹かれて海の香りいっぱいのパスタを味わう。そしてテーブルには白ワイン。なんて素敵でしょう。

 あの映画を思い出すと、どうしてもスパゲッティとワインを用意して観たくなります。


 『グラン・ブルー』では映像から察するにオイル・ベースの海鮮スパゲッティと白ワインの組み合わせでしたが、『ルパン三世カリオストロの城』ではミートボールの入ったトマトベースのスパゲッティと赤ワインが登場しました。あのスパゲッティの取り合いシーンにお腹をすかせた人も多いのではないでしょうか。


 私にとって『パスタ』というより『スパゲッティ』というほうが魅力的なのは、映画の思い出のせいかもしれません。

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