友達 もっと♪

元[マジョルカ王国]のランドマークだった、地上300メートルの高さにある[見せ物小屋の魔法使い]が住む住居に、神父のニヒロがいた。

他にももうひとり、ニヒロにそっくりな男がいて、ニヒロと話をしている。

ニヒロ「あの娘が持っている魔導書は、間違いなく原本だよ」

イクス・ナイハイロ(以下ナイハイロ)「そうか、無事だったか…娘も魔導書も……良かった。」

このイクス・ナイハイロはマジョルカ王国一、いやおそらくこの世界一の魔法使いだが、多少性格(性癖)に問題があり、この天高い塔の小屋、通称[見せ物小屋]に隔離されている。

ナイハイロ「そろそろ下に降りる時間じゃないか?」

ニヒロ「……はいはい。行きますよ。全く、人使いが粗いな。」

ナイハイロ「いいんだよ(笑)おまえは俺なんだから」ニヒロ「……はいはい。」

この神父のニヒロはナイハイロの分身である。ナイハイロは自身の分身を造りだし、それに人格を与えたのだ。

ナイハイロ「俺はここから出られないんだからな!」ニヒロ「どうにでもなるクセに」


ニヒロの仕事とは、ミントが纏う不思議な光が通用しない、強力なモンスターからミントを守ること。ミントの存在を感知させない様に一帯に結界を張っているのだ。

この結界は人間にも有効で[パスカルト国]の兵士からもミントを守っている。


デイジーを作ってから更に数日が過ぎ、ミントの友達達も全部で六体になっていた。


四体目のゾンビは筋骨隆々のガッチリしたモヒカンのマッチョメンで、名前はルドラと名乗った。

五体目は身長180センチメートルぐらいのこれまたマッチョメンで名前をパライソという。

ルドラとパライソは同じ腕章を着けていた。どうやら二人とも同じ部隊にいて、一緒に殺されたらしい。

六体目のゾンビは、東洋系の顔立ちをした男前で、細身ながら必要な筋肉は付いているといった感じの男、名前はリンシュウという。

ミントが作ったゾンビ達の男はみな屈強な体つきをしている。みなそれぞれ強者のオーラをまとっていた。


六体のゾンビ達はもはや普通に会話するし、食事や睡眠もとる。みな死ぬ直前までの記憶がある。それに致命傷になっていた傷等は、跡形もなく消えていた。もはや、ゾンビではなく、ほぼ生き返っているに等しかった。

この世界では、人は死亡すると決して生き返らない。人を生き返らせる魔法など存在しない。この事実が後々ミントを強大な争いへと巻き込んでいく。



今日も今日とて、六体のゾンビ達は賑やかで大騒ぎである。


ルドラ「いくぞ?(#`皿´)」

パライソ「さっさと始めるんだな( ☆∀☆)」

ルドラ「殴って叩いてジャンケンポン‼」

普通なら殴って、かぶってである。

ルドラはチョキ、パライソはグーだ。

バキドガッ!!!

二人同時に殴り合った。

マカラ「……ぼ、暴力的だな………どっちも攻撃じゃないか(;゜∀゜)」

ルドラはノックアウトである。

パライソ「情けないんだな…(;・ω・)次っ!!リンシュウなんだな」

リンシュウ「ヤダよ俺は!!!」

パライソ「つまらないんだな……(;・ω・)」

マカラ「パライソ(笑)そのぐらいで」

パライソ「うん、マカラ先輩なんだな」


ルドラとパライソは生前、[マジョルカ王国]近辺を活動の拠点とする傭兵隊[レイド]に所属していた。中でもパライソの武勇は大陸中に知られているほど有名で、ルドラはそんなパライソに憧れて[レイド]に入隊したのだった。

そのため、ルドラの髪型から服装など、すべてパライソの真似である。


ミント「みんな〜(*≧∀≦*)ご飯だよ〜〜」

マカラ「待ってました!♪ヽ(´▽`)/」


食事中にルドラとパライソの二人が生前は傭兵隊に居たことを聞き、マカラがくいついた。

マカラ「へぇ〜( ゜o゜)二人とも[レイド]にいたんだ?有名だぜ[レイド]」

マカラ「でも、奇遇だな、実は俺も傭兵なんだよ、隊長の命令で遊歴の身だけどね」

リンシュウ「ふぅん…今時、腕に自信がある男は大体傭兵だよね(笑)俺は違うけど」

ルドラ「なんだリンシュウ?馬鹿にしてんのか?」

アーシア「……なるほどね(;・ω・)立場はどうあれ、男達はみんな今回のマジョルカとパスカルトの戦争に巻き込まれた感じなのね」

マカラ「んー、俺はちょっと違うかな…俺の場合、遊歴の途中で金が底をついたから、

手っ取り早く隣の[ソレイユ公国]で姫様奪還の仕事をもらって、その途中だったんだけど、この辺りで姫を拐った蛇の一族と戦っちゃった(笑)」

ルドラ「蛇の一族かよ(;゜∀゜)そりゃ災難だったな」



蛇の一族とは、この世界に蔓延る悪の根源的な戦闘民族である。争い事の影には蛇の一族が関わっている事が多い。

戦闘民族だけあって個々の武力が群を抜いている。

マカラ「いや、良いところまでは追い詰めたんだけどね(;・ω・)(笑)」

ルドラ「嘘つけ(笑)奴らは無理だよ」

パライソ「………蛇か。」

マカラ「いや、本当に惜しかったんだ(笑)(;・ω・)」

リンシュウ「蛇を追い詰めたとか(笑)わかりやすい嘘だな(笑)」


マカラ「いや、マジだって、俺のいる傭兵隊の奴らなら蛇と互角だぜ?」

ルドラ「またまた〜(笑)」「…まてよ?」


一瞬静まってルドラがいう。

ルドラ「まさかおまえの所属してる傭兵隊って、………」

アーシア「…蛇と渡り合えるのは、あそこだけって話はよく聞くわね」

リンシュウ「嘘だろ?マカラが?」

マカラ「ガーゴイル隊だよ(ノ´∀`*)」


ガーゴイル隊とは、この大陸最強の傭兵集団である。


ルドラ「なるほどね…………オーラが違う訳だ。それに、パライソもおまえを認めてるし、合点がいったぜ」

パライソ「………マカラ先輩格好いいんだな」

マカラ「でも、姫様を誘拐した奴らが全員蛇だったとは(笑)、んで激闘の末ぶっ殺されたんだ(。´Д⊂)」

ルドラ「へぇ、じゃあソレイユの姫様はいまだに奪還ならずなんだ?」

マカラ「………っていうか、俺と蛇達の闘いが激しくてさ、すぐ側の崖が崩れたんだけど、その真下に姫様居たんだよね(。´Д⊂)」

マカラ「助ける余裕まったくなかった。気ぃ抜いたら舜殺されるからね(;・ω・)」

リンシュウ「死んでるかもよ(笑)」

マカラ「うん、俺もそう思う………無事だといいけどな………、デイジー姫」


アーシア「ブッーーーーー!!!!」

マカラが言った途端、アーシアが口に含んだ食べ物を吹き出す。

アーシア「誰って?マカラさん?」

マカラ「え?ソレイユ公国のデイジー姫だよ?……………え?あぁっ!!」


その場に居たもの全員がデイジーを見る。


みんなの話なんかそっちのけで、口いっぱいに食べ物を頬張るデイジーがいた。


リンシュウ「ねぇ?デイジー!」

デイジー「ほぇ?」

リンシュウ「デイジーって、ひょっとして[ソレイユ公国]のお姫様なの?」

デイジー「うん(*´ω`*)そうだよ(ノ´∀`*)」


その場の時が一瞬だけ止まった。

マカラが怒号にも似た声を上げる。


マカラ「おまえ死んでんじゃねえよーー!!」

デイジー「ほぇ?」

マカラ「なんの為に俺が殺されたと思ってんだよ(笑)」

マカラは笑いながら怒っている。

デイジー「ほぇほぇ?」

デイジーはびっくりしてキョトンとしている。

ルドラ「(笑)マジか、ソレイユに連れて行けば結構な報償金貰えるんじゃねぇ?( ☆∀☆)」

リンシュウ「おぉ♪いいね( ☆∀☆)」


アーシア「……ねぇデイジー、あなた家に帰りたいと思う?」

デイジー「ほぇ?別にいいかなぁ(*^_^*)」

リンシュウ「だってさルドラ?」

ルドラ「ちっ、勿体ねぇ」


アーシア「でも、うちら…結構大所帯だからねぇ(;・ω・)仕事探してお金稼がないと……食い扶持が」

デイジー「…………そっか…なら、ソレイユいく?嫌な人居るけど」


ミント「みんななんの話?食器片付けるよ(*≧∀≦*)」

デイジー「あっ!まって、まだ食べる!!」

ミント「うん、あたしもこれからだから一緒に食べよう!デイジーちゃん(*≧∀≦*)」


神父のニヒロは小屋の外で立ち聞きしていた。

ニヒロ「私もお腹すいてきた…………ソレイユ公国か」

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