ソレイユ公国へ

この世界には、人びとの移動手段として、

[魔法の絨毯タクシー]なるものがある。

魔法の才能をもつ者が、生活の糧を得る為に、仕事として遠い場所や、中には危険な場所にまで人びとを運ぶ。もちろん危険な場所に行く場合は料金割り増しである。


マジョルカ王国(現パスカルト国)とソレイユ公国の国境までだいぶ距離がある。その為ミント達は神父のニヒロの奢りで[魔法の絨毯タクシー]を利用する事にした。


そこは現パスカルト領内の道の駅

[ホクトデン]

少なからず人びとが行き交う。駅前の魔導スピーカーから「次は〜シュウヨウゲン〜シュウヨウゲン…」と聞こえてくる。

国が運営している寄合大絨毯のアナウンスである。

[シュウヨウゲン]はソレイユ公国の中心都市である。[シュウヨウゲン]に行くには、鈍行で丸三日、快速で二日である。個人の絨毯タクシーでは、やはり二日程度かかる。


ミント達がタクシーを探している横を、[パスカルト]の兵士達が見回りで通りすぎる。

お互い気がつかない…………と、一人の兵士がニヒロに気がつき話しかけてくる。

兵士1「神父様じゃないですか?」

ビクッとするニヒロ。

兵士1「神父様、今月の家賃がまだですよね?こんなところで何をしてるんです?」

ニヒロ(あちゃ〜…不味いかな…)

他の兵士も寄ってくる。

兵士2「ん?どこかで見た事があると思ったら、ミントじゃねぇか…何してんだこんなところで?」

ミント「!!!!」

ミントはガタガタ震えだした。

ミント「ひ、ひいぃ…い、いやぁ…」

兵士2「仕事が山程残ってるぞ?帰ってこい!」

兵士3「今日は寝かさんからな」


ミントが怯えてるのを感じとり、マカラ達は強烈な殺気を放つ。

マカラ「なにしてんだ?その娘は俺達の家族なんだぜ?怯えてんじゃねえか」

そう言ってパスカルトの兵士を睨みつける。

兵士2「なんだ貴様ら……その娘には家族などおらん、みんな死んだからな(笑)」

兵士3「強いて言えば、俺達が家族みたいなもんだ(笑)なぁミント?」


ミントは泣きながら首を横に振り、震えている。


ロープで縛られたダイキリが口を開く。

ダイキリ「お前達、パスカルトの兵士なんだな?ワシはソレイユ公国の大臣ダイキリだ。

助けてくれ!!こいつら悪者だ( ; ゜Д゜)」

ダイキリ「ワシを人質にして、国から身代金を奪うつもりだ!」

兵士1「なんと!………神父様、遂にやってしまいましたか……金策の為とはいえ……嘆かわしい……」

ニヒロは呆れて、ダイキリを見る。

ニヒロ「……よくも言えたものですね」

ダイキリ「頼む!ワシを助けてくれたら、謝礼は弾む!」

兵士2「だとさ、聞いたかお前達……悪いな、ダイキリ大臣とミントは我々が保護する!」


リンシュウ「そうはいかないんだな♪」

ルドラ「あぁ(笑)笑わせるなよ?」

マカラ「マスターを泣かした罪は重いぜ?(#`皿´)」

マカラ達が臨戦態勢になる。すると兵士の一人がルドラとパライソの腕にある、腕章に気付く。

兵士1「……その腕章は、お前とお前は[レイド]だな…」

ルドラ「よく知ってるじゃねぇか(笑)ま、[マジョルカ]に雇われてたからな(笑)」

兵士2「……なにがおかしい?笑ってられないぜ?」

兵士3「[レイド]もマジョルカの残党に名前があがっている……我々にしてみれば一石二鳥だ、覚悟はいいな?残党は見つけ次第殺せとの命令なんでな」

兵士のひとりが魔法貝(現代の携帯電話)で他の兵士達に連絡をとり、近辺にいたパスカルトの兵士達が集まってきた。

兵士3「こいつら[レイド]だぜ、標的だ!」

集まってきた兵士達がパライソに気付く。

兵士「!!!!パライソだ!あの時我々が仕留めたはずだ!なぜここにいる?そして貴様はルドラだな?なぜだ?二人とも死んだはずだろ?」

ルドラ「訳あって、生き返ったのさ(笑)」

パライソ「あんな卑怯なやり方じゃなきゃ、お前らなんかに殺られるはずはないんだな!」

マカラ「覚悟するのは、お前らのほうだ!」


ニヒロ(もう、止まらないかな………)

ニヒロは後退りして拘束したダイキリと共に少し離れる。


15人に膨れ上がったパスカルトの兵士達が一斉にマカラ達に襲いかかる!


あっという間に、勝負はついた。

ルドラ、パライソ、マカラ、リンシュウの4人は強かった。それも圧倒的に。素手でパスカルトの兵士15人を5分もかからずに倒してしまった。アーシアとデイジーは怯えるミントを慰めていた。

離れたところで、ニヒロはダイキリの脇腹を思い切りつねっている。

ダイキリ「あだだだだぁ〜〜(T^T)やめれ〜許してください〜」

ニヒロ「……あなたは最低だ!この場で消してしまいたいほどに!」

さらに脇腹をねじりあげる。

ダイキリ「あばばばばばばッ!!!」

ダイキリは泡を吹いて失神した。そこへ一仕事終えたマカラ達がやってくる。

ルドラ「神父さんよ、そいつどーする?かなりのゲス野郎だぜ?」

ニヒロ「……はい、とりあえずソレイユ公国で貰うもの貰ったら、地獄を見せましょう(笑)」

リンシュウ「(笑)いいね」

デイジー「この大臣の事は任せて♪晒し者にしてやるから!」

マカラ「おぉ怖いわー(笑)」

デイジー「さ、行きましょう♪あたし、絨毯タクシー初めて乗るから、少し楽しみ♪(///ω///)♪」

アーシア「私も楽しみ♪大丈夫?ミントちゃん?」

ミント「………うん(。´Д⊂)」

マカラ「(#`皿´)パスカルトめ……いづれ滅ぼしてやろうか?」

パライソ「いいね!かっこいいんだな!マカラ先輩♪」

ルドラ「見事に俺らみんなパスカルト国に恨みがあるね(笑)アーシアとデイジーはなんかないの?」

アーシア「私とデイジーだって、ミントを泣かした連中は大っ嫌いよ?」

デイジー「父上に頼んで、パスカルト国に攻め込んで貰おうか(笑)だってマジョルカ王国とソレイユ公国だって同盟国どうしだったのよ?ウチとパスカルト国は友好的ですらなかったし」

マカラ「お♪ソレイユ公国の軍隊出しちゃう?(笑)」

デイジー「ま、父上は争い事嫌いだから無理かもだけどね(笑)」


ミント達は比較的安い[魔法の絨毯タクシー]に乗り、ソレイユ公国の首都[シュウヨウゲン]に向かった。




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