テレビゲームと彼女への愛が伝わる佳作

作者・長之介さんのカクヨム第一作目にして、高校時代の出来事をベースに執筆された恋愛小説。 

この作品の彼女(すなわち現在の長之介さんの奥様)との出会いを、お互いの趣味であるテレビゲームを通じて、徐々に親しくなっていき、最終的に告白に至るという過程を、独特の筆致で表現。

恋愛に不慣れな男子と、勉強と運動はさほど得意ではないごくごく普通の女子という、すれていない純朴な感のある二人の一進一退の恋の行方に引き込まれついつい読んでしまい、それぞれの戸惑いを持つ主人公とヒロインに感情移入させられます。

かつ、長之介さんのゲームの趣味も随所に披歴され、その時代のゲームを知っている人にはたまらないゲーム小ネタや、ファミスタのようにうまく文字を変えたもじりゲームタイトルもこの作品の面白さとアイデンティティーとして昇華されていると感じました。

レトロゲーム(当時は最新ゲーム)と恋愛、というと、ちょっと前に話題になった漫画「ハイスコアガール」が思い出されます。

しかし長之介さんはハイスコアガールとは異なるアプローチで、ゲームと恋愛という一見合わなそうなカラーを持つ素材を、ゲームと彼女(現在の奥様)への愛情という一貫した真のテーマでまとめ上げ、読み応えのある作品として仕上げました。

恋愛小説が好きな方、テレビゲームが好きな方、どちらにも満足いただける作品として、満を持してオススメできます。

最後に、長之介さん、お疲れ様でした。これからも奥様やお子様達を愛して、幸せな家庭生活を築いてください。

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