御主人、御主人


今日のご飯は何ですか?


御主人?


御主人の手は暖かくて大好きです


御主人、今日はどこへ行くのですか?


御主人、何故泣いているのです?


御主人、泣かないで


…御主人、くすぐったいです


慰めてあげたいのです


だから今だけは優しく撫でないで


貴方のおそばにずっと居りますよ


「ごめんね」


御主人?


ここはどこですか?


見たこともない仲間がいっぱいいます


仲間が言うのです


『もうすぐで殺される』って


嘘ですよね?


きっと、迎えに来てくれますよね?


だって、美味しいご飯も食べてますし、頭をなでてくれる方もいます


殺されるなんて、なにかの間違いですよね?


御主人、いつお迎えに来てくれるのですか?


優しい人がいっぱいいますけど御主人が良い。


御主人じゃないと嫌です


あの日拾って育ててくれた御主人


付ききっりで一緒にいてくれた御主人


『ニゃぁ』


御主人


『にゃァァ』


御主人


「…ごめんな」


毎日ご飯をくれた人が御主人と同じことを言います


「…ニャ」


御主人、仲間がどんどん倒れていきます


うずくまって動かなくなります


冷たくなっていきます


御主人、もう立てません


御主人、目を開けられません


御主人、息ができません


「……………ニャ………ァ」


御主人、助けて


怖いよ


苦しいよ


御主人


助けて


御しゅ、じん


たすけて


ごしゅじん


たすけ






「おい、もう終わったか」


「はい」


「よし、焼却炉に入れてこい」


「はい」


「燃えたか」


「はい」


「ゴミと一緒に埋めてこい」


「はい」



その真実を知った時、涙で顔がぐしゃぐしゃになりました。


小さな箱の中で悲しそうに泣く猫達、二酸化炭素の充満した苦しみの中足の踏み場のない狭い場所でもがいてもがいて、ガンっ、ガンッと箱にぶつかる音。


それがどんどん小さくなって、やがて聞こえなくなるんです。


最後の最後まで、御主人を呼んでいるんだと思ったら行き場のない怒りがこみ上げてきます。


平気で捨てないで


平気で手放さないで


最後まで、一緒にいてあげて


最後を看取ってあげて


殺さないで


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