第4話 何の話してんのよ!
小鹿野さんって、ホンッッッと、カワイイ!
本人がカワイイのはもちろんだけど、持ってくるお弁当がまたカワイイの!
あれから毎日お昼一緒に食べてるんだけど、小鹿野さんのお弁当がいつもカワイイから、「それお母さんが作ってくれてるの?」って訊いちゃった。そしたら、小鹿野さんが自分で作ってるんだって!
思わず「マジ? スゲ!」とか私言っちゃって、自分のボギャブラリの貧困さというか、女子高生としてこれはマズイだろって気分になって少しへこんだんだけど、小鹿野さんたら「三宅さんの分も作ってきてあげましょうか?」って言うのよ!
もう「ダイエットなんて一切してないから、カロリーとか気にしないでガンガン作ってきて!」って言おうとして、でもそれはさすがに思いとどまった。ちょっとエライな私。
小鹿野さんみたいな、女の私から見ても守ってあげたくなるような可愛さ、昔からすごく
小鹿野さんと一緒にいたら私もそんな可愛さが自然と身に
とにかく、小鹿野さんと一緒にいるとなんか楽しい気分になってきちゃうから、つい調子に乗ってしまって、どこへ行くにも
でもなんで小鹿野さん、学校のトイレは1つ下の階のをいつも使うんだろ? 縁起でもかついでいるのかな?
で、今日も一緒に寄り道してから一緒に電車乗って帰るところ。
そしたら、なぜか地元鶴ヶ島駅の改札前に、眼鏡男がパズル本読んで立っていた。
「ずいぶん遅かったな」
「なによ菅谷、待ち伏せとはいい度胸ね」
上品とかカワイイとかとは無縁なセリフが口から出てしまった。
「はっ! もしやアンタ、この私に告白しようってんじゃないでしょうね? お目が高いと言ってやろうじゃないの」
無言のまま真っ直ぐこっちに歩いてくる菅谷。眼鏡の奥の眼に感情の動きはない。
「ちょっとアンタ、少しは何か言いなさいよ! これじゃ私がバカみたいじゃない!」
菅谷は私をガン無視したまま、小鹿野さんの前で足を止めた。まっすぐ小鹿野さんの目を見る菅谷。視線をそらす小鹿野さん。
「まさかまさか小鹿野さんに告白? ダメよ! そーゆーのはまずマネージャーである私を通してからに……」
「なぜ本吉だと気づいた?」
理解不能なその一言は、なぜか小鹿野さんには直撃だったらしい。大きく目を見開いて、見えない手で突き飛ばされたように小鹿野さんはよろけた。
「そこだけがどうしても理解できない。なぜ仕掛けたのが本吉だと思ったんだ?」
「ちょっとちょっと、何の話してんのよ! 理解できないのはこっちよ!」
小鹿野さんの瞳に怯えの色が広がった。口元を隠すように震えていた手のひらが、目の前の菅谷を押しやろうとしているのか、菅谷の胸の前に伸びてきて、探るような迷うような動きをはじめた。
小鹿野さんの瞳に、涙がじんわりと浮かんできた。
「菅谷! あんたが!」
「三宅さん違うの」
小鹿野さんが笑顔を見せて、細い指先で涙をすくいながら言った。まったくなんでこのコは動作の1つ1つがこんなにもカワイイの?
「ありがとう……2人とも、私の家に来てもらえる? 家で説明するから……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます