第11話 さぁ、国王様に会いに行きましょう

では、王宮内の状況も、ある程度は把握できた事だし、早速正規の登城でもしましょうか。


まずは門番さんに挨拶しましょう。


「こんにちは。お疲れ様です。

先日国王陛下と謁見をしたものですが、本日、アドフィルゲイン殿の遺体を受け取りに参りました。

一応、名もなき旅人、と伝えていただければ通じるかと」


門番は怪しげに眉を寄せ、門番の一人は城内に事情報告に向かった。


残った方の門番は胡散臭げに、こちらを睨みつけている。


まぁ、今の格好はいかにも不審者ですよのローブを纏っている。


でもその視線は痛いよ。

突き刺すような視線で感じちゃうのはただの変態でしかないと思う。


10分程して、先程の門番が帰ってきた。



「許可が下りた。ついてこい」


まぁ、ノコノコとついて行きますよっと。




「んで、ここはどこでしょう」


うーん、ジメッとしてカビ臭い。何より汚い。


「ここに入れ」


はーい、と言われるまま入る。


ガチャンと音がした。


「ここは、お前専用の待合室だ。もし自力で出られたら、国王陛下に合わせてやる」


どうして城勤めの奴らはこんなにも卑下た笑みを浮かべるのが得意なのか。


「まぁ、頑張ってみます」


あぁ、せいぜい出られる事を祈っているさ。


態度と言葉の冷たさに。私の心が泣いている。

もうダメ。私のHPはもうゼロよ!


ていうのは冗談で、門番が出て行ったのを確認し、他に見張りがいない事を確認したら、早速、国王陛下の元に飛ぶ事にしました。


こんなとこに長時間いたら、喘息になっちゃうよ?

御守りの力でならないけど、ほら、精神衛生上よろしくないし。


って事で、早速脱出します。

【転移】



ちょっと、先程の廊下での出来事でやさぐれていたので、直接国王陛下のいる執務室へと、飛びました。


「国王って、やっぱりただ玉座に座ってふんぞり返っているのが仕事ではないのですね」


急に現れた、僕に対して、静かに驚いている国王陛下。

今のサインしている書類にインクがポタポタたれてますよ。


「これは名乗らず失礼を致しました。私は先日ご挨拶に伺いました、『名もなき旅人』でございます。

本日は、先日処刑されました。アドフィルゲイン・ノーザンホーク殿の遺体を頂きに参りました」


国王陛下は相変わらず眉間にシワが寄ってらっしゃる。

国王陛下はため息をつき、近くの護衛に


「持ってまいれ」


と、一言命令を下した。


しかし、この命令に過敏に反応した護衛騎士は、

動揺を隠しもせず、


「陛下、少しお耳に入れたい事が」


「いや、構わん、その場で申せ」


なぜかすごく言いにくそうな表情をしている。

何故なら、もう遺体を用意できる状態ではないからだ。


「はっ。実は先日処刑した、アドフィルゲイン・ノーザンホークを処刑後、アレクシス皇子により、遺体が激しく損傷されていまして……」


一度口を閉ざす護衛騎士


「構わん、続けよ」


諦めたように、全てを話す


「あまりにも損傷が酷かったものですから、その後、アレクシス皇子のご判断で、処分されてしまい、現在遺体がどこにあるのか全くわからない状態でございます」


「なに? ならば、この者に遺体を渡す事ができないと申すのか?」


護衛騎士は両手を握り締め、少し震えながら


「 さ、左様でございます」


国王陛下はため息ををつき、


「そうか……、アレクシス皇子についての処分は後で考える。

して、そこの旅人よ、今の話の通り、約束は果たせそうにない。よってそのまま帰っていただいても良いだろうか」


なんと! 貰うだけ貰って、対価がないだと。

たとえ国のトップだからってそのような道理が通らない事を教えてあげようではないか。


「左様ですか。しかし、国王陛下に献上したものは、国宝級。小国ならば買う事ができるくらいの価値ある品物でございます。やはりそれ相応のモノをいただかなければ、取引になりませんね。」


いやぁ、困った。

という風に、両手を広げて見せる。

半ば呆れましたとでもいうような仕草だ。


「ならば、処刑したアドフィルゲイン・ノーザンホークの家族には一切手を出さない。これでどうだ」


やれやらと仕草をする。相手を苛立たせるのはワザとだ。


「私は別にあのアドフィルゲインが欲しいのであって、別にその家族は欲しいのではありませんよ」


勘違いしないで欲しいですね。

全くこれだからお国の上層部は困りますね。

と、相手が苛立つようにジェスチャーをする。


「言わせておけば、先程から譲歩案を全てを無下にしおって!

貴様がたとえ摩訶不思議な道具を所持したからって、所詮は平民。私に逆らう事は許さない。


捕らえろ!!」



一斉に襲ってきた騎士達、うん、連携が取れている。

ってか、騎士さん達、手駒感半端ないよ。マジで。


そもそも僕、別に人殺しに来たわけじゃないし、殺すつもりないし……。


あと、別にゲスくないから、精神的にも社会的にも抹殺する気ないよ。


だって駒だからね。


と、いう事で、標的は一つ。


騎士ではなく、指揮者。つまり国王陛下だ。


使い勝手の良い魔法【瞬光】

体感速度が上がる。つまりシンキングタイムが長くなる。

頭脳派には堪らないものなんだけど、今回は別にじっくり考えなくても、ただの麻酔銃を打てば終了。


弾丸は闇魔法製だけど、銃のフォルムは、安全性を重視した日本製を改良したものだ。多少のブレは、闇属性の弾丸が自動追尾で補助されるから問題ない。


さて、無事おやすみモードに入ってくれた、国王陛下だが、どうしようか。


やっぱり、悪夢を見させる【ナイトメア】にするところだけど、これ、意外にメンタルにクルんだよね。


どうせなら、もっと、可愛く、そしてえげつないものにしようと思う。


まぁ、本人達には伝えないけど。


だってお仕置きだから。

絶対に困ると思う。国王陛下なら



さて、国のトップ達にお仕置きを施した事だし、僕は城を出る事にした。


表面的にはただ国王陛下の意識を刈り取っただけだけど、恐ろしいのはこれからだよ。


特に国王サマ。大臣達も他人事だと思わないほうが良いよ。


「それではみなさん。もう会う事はないと思うけど、お元気で」



そのあとの空間には、寝こけた国王と呆然とした大臣と文官、騎士達が残った。


ってか文官居たんだ……。


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