第38話 エア友達の名前が皆、ともちゃんな件について


サブタイトル

「金欠対策in異世界」


*********************


この度の勇者様は期待通り、酷かった。

王道ってあんな感じだから仕方ないけど、実際目にしちゃうと、感想もまた変わってくるんだね。


「ディー、疲れていないか?」

「うーん、精神的に少し?かな」


「ガーディ、飲み物を買ってきたからやるよ、喉乾いてるだろ?」

「あっ、うんありがとう」


「ピィーピィー」

ピィーピィーキューキュー鳴いて慰めてくれるウィー君をモフモフする。癒しだ。

そして皆が優しい。


さっきは、皆空気というか、あまり関わりたくないようで、口を閉ざしてた感が強い。おかげで話が拗れなかったのが良かったけど、皆一応気にしていたのかな?

「皆さんアドフさん、ガヴィールさんあまり気を使わないで下さい。首を突っ込んだのは僕からなので、自業自得というか、一応種を蒔くのには成功しているので、問題ないです」

ウィー君はモフモフさせて下さい、


「そうか?だが無理するなよ。俺たちはディーが元気な事が一番だからな」


あなたは僕のお父さんですか?

今度お父さんと呼びますよ?


皆に少し気を使われながら、今後の資金源の調達について考える。この後も皆で今後の生活資金について話し合う予定だ。固定の住宅が無い分、どうしても宿は割高になる。この際恒久的な資金調達方法を考えよう。


考え事をしていれば、自然と時間の感覚が短く感じるようだ。目の前には本日お世話になる宿泊所に着いている。


チェックインをすれば、フロント担当から部屋の鍵を渡してくれる。本日はガヴィールとウィーくん、アドフとガーディの二部屋づつの部屋割りだ。なぜならシングルまたはツインしかなかったからだ。


この部屋割りはガヴィールが提案して、宿泊代金も彼が出していた。なんでも

「ウィフィアスにはまだ早いからな」

と、なんとも居た堪れない言葉を吐き出された。


ガーディは苦い顔をしたが、ガーディの背後にいたアドフは、そうかと言いながらも顔が怪しい笑みを貼り付けており、ガヴィールは少し引いていた。ガーディは気がついていない。


時間が夕食の時間帯だけに、フロント周辺や食堂が賑わっている。ガーディ達も一度部屋の確認と数少ない荷物を置いて、集合予定場所に指定した、食堂入り口に向かう。


再度合流したガーディらは食堂の中でも比較的静かな場所で、食事件兼話し合いをする。

周囲の人は疎らで、宿自体の利用者は比較的多く感じたので、ほとんどの人は外で食べているのだろうか。なんにしろ人が少ない分食堂は静かで穏やかな雰囲気が流れている。

料理を注文して、客が空いている分比較的早く料理が提供された。食事の内容は、山を越えれば全く違うもので、クランシュタットでは、パンがメインであるが、ここはどうやら芋? のようなものが主食のようだ。

芋を蒸しふかし多分?バターが載せられている。メインはビーフシチューのようなもの。聞けば内容はビーフストロガノフに近いようだ。その他に蒸し野菜に割いた鶏肉を乗せたもの、水餃子のような中身のスープ。

中華のようなヨーロッパのようなロシアのようなよくわからない組み合わせだ。

簡単な説明を受けて、自分が食べたい分だけ取り分ける形式だ。この国は大皿で盛り付け、各自が小皿にとって食べる形式だ。国の文化としてはどこだろうか。地球と参考になる国がない。


各自が食べたいものをとるだけなので、無駄がない。結局20分程で全ての料理を食べ終わる。この時は各々の好きな食べ物がわかる。

ガヴィールは芋や水餃子などの炭水化物

アドフは肉類、うん、わかりやすい。

ガーディは野菜と蒸し鶏と好みが分かれる。

ウィフィアスはこの時期は主食は鶏肉ををよく食べる。それ以外にも虫を食べたり、果物も食べる。意外なことに、牛種のミルクも飲むらしい。ドラゴンってミルク飲むんだ…。


食後ウィフィアスをもふりながら休憩をし、特に秘匿事項もないので、テーブルを片付けてもらい、この国のコーヒー、アルジァを三つ注文し、皆でいただく。


アルジァはあまり苦くはないが、その分味は比較的淡白だ。人によれば薄いと思うかもしれない。その分香りは強い。

香りはコーヒーそのままなので、芳ばしい匂いに包まれながら、早速議題、その名も

「空と海と大地と呪われし金欠の旅!資金供給源を掴み取れ!」



「という事で議題の元これより集会を始めます」

「随分いきなりだな」

「こうもしないと話し進まないから」

「いったい何を…まぁいいや、始めよう。それで内容は資金調達についてだっけ?」



なんとも適当なスタートとなったが、確かに今すぐ資金が尽きるわけではないらしい。

ガーディについては、錬金術という名の錬金魔法、鉱物の錬成に長けたものを持っているので、すぐに金属の塊を作り出して、それを売れば金になる。

他に薬草から薬を作れば、それも余れば売ればいい。

ガヴィールは元がドラゴンなので、定期的に生え変わる鱗を捨てずに保管しておけば、結構な収入になるらしい。

アドフに至っては、今までの貯金と時折行うギルド依頼で資金状態は維持できるらしい。


うーん、特に問題ないようなので、五分で議題終了。既に問題は解決していた。

最近シリアスが足りない。

誰か! シリアスを下さい!!


少し切なくなり、アドフには渡していた、簡易版の魔法袋をガヴィールにも渡し、必要があれば活用してもらう事にした。


これってさ、旅ってよりもただの旅行だよね。


既に観光モードで異世界を回る自分ののんびりさに気が付きつつあるガーディである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法も科学もない世界を見てまわろうか プリンセスたけし @kokiyama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ