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下笹目警察署のすぐ隣には、大きめの公園がある。下笹目中央公園である。


うららかな五月の昼下がり、舞と雀は公園で寝ていた。ぽかぽか陽気に喉が乾き、舞が目を覚ます。起き上がり、気持ち良さそうに伸びをした。

舞「ん〜〜〜〜〜〜〜♪いい天気♪雀ちゃんそろそろ起きようよぉ」雀も目を覚ます。

舞「今日も踊ろう♪いっぱい踊ろうね」

雀「うん。顔洗ってくるから先に準備してて」

雀が公園の水場で顔を洗っていると、中年の市役所職員の男が菷で掃きながら近づいてきた。この男、名前を大林トオルという。年令は42歳。

地面を掃く音に雀が気づき音のする方をみる。

大林「こんにちは、雀ちゃん」

雀「掃除のおじさん❤」

大林「今日も踊りにいくのかい?」

雀「うん♪踊ってお金稼ぐの♪」

大林「そうかい!毎日偉いね♪」

雀は顔を赤らめて満面の笑顔になった。

雀(誉められちゃった❤)

雀の笑顔に合わせて、大林もにこりと笑顔になった。

舞と雀の二人はこの大林という男に恋心を抱いていた。優しいから以外のなにものでもないが。

大林(この娘達はいったい何者なんだろうか…

以前、家は何処なのかとか、家族が心配している等、言った時は大変だったな……)

二人は自分達の名前以外何も知らない。自分達の家や家族等、自分の名字すらしらない。お互いの下の名前以外何も覚えていないのだ。


以下大林の回想。

舞「…え?私達のお家?」大林「うん。どこに住んでるの?家族とか居るんでしょ?心配してるよ?」舞と雀は顔を見合せて固まった。次の瞬間突然ビクンッと頭を抱えて震えだした。大林「ちょっ!!ふ、二人共大丈夫かい!?」そのまま二人共倒れこみ、3時間ほど起きなかった。

回想終了。

大林が考えていると、後ろから舞が忍び寄ってきた。

舞「こんにちは♪おじさん!!!!」

挨拶と同時に大林に強烈な浣腸をくらわせた。

第二関節までくいこむ。大林は顔面蒼白になりながら

大林「舞ちゃん…そこは出すところで入れるところじゃないよ…」

舞「うん♪」大林「グリグリしないで早く抜いて(泣)」舞「うん♪」


大林(しかし…家族の事とかを聞いただけで、気を失うって事は、相当酷い目にあってたのか…?まさか虐待?)

(いったい何があったんだろうか………)

(そもそも、年頃の女の子が公園で野宿って、危険すぎるだろう)


二人は準備を済ませ今日も駅前へ向かう。

「じゃあね♪おじさん♪」


今日も下笹目駅駅前広場は賑わう。

駅ビルの巨大スクリーンに白鳥舞の母親が映っている。

舞の母親「舞……早く会いたいわ…ちゃんと御飯食べてるの?」泣きながら訴えている。

「風邪をひいたらケツにネギよ……」

「玉ねぎは入らないわ…もし入ったらあなたは上級者よ……」

だいぶ錯乱しているようだ。

レポーターの古西「ネギなんかより俺のビッグマグナムで風邪なんか吹っ飛ばしてあげますよ♪」「なんならまずお母さんが試してみます?」舞の母親「あら…まあ♪」

キャスター「誰か古西を止めろ!!」

翌日から番組に古西の姿はなかった。


最近この駅前で人気の出てきたストリートミュージシャンがいる。

メタルバンド[激烈魔女げきれつまじょ]

である。vo.のコルチナがとにかく可愛いと噂になっている。金髪の綺麗な髪に可愛い声、メタルのサウンドを引っ張る歌唱力、全員日本人なのだがguitarやbase、drumの面子も皆凄腕の実力者達なのだ。

コルチナは自分達と同じく最近注目を集めている二人の踊り子の大ファンなのだ。


コルチナ「いえ〜〜〜〜〜〜い♪みんなありがとーっ!!」ファン「いえーーーっ!!」コルチナ「ラストの曲いくよー♪いつものやつね!ダンシングドリーマーっ!!!くらいやがれっ!!」

スラッシュメタルだ。

ストリートなのにあり得ないほどの盛り上がりをみせる。間違いなく駅前の人気No.1バンドである。

コルチナはライブの最中もチラチラと二人を目で追っていた。


コルチナ(今日もあの娘達可愛いなぁ…)

(この曲、ダンシングドリーマー、あの娘達にぴったりだよ)(あの娘達をイメージして手を加えて良かった!)


今日も駅前は大にぎわいだ。

日も暮れてきて、駅前のパフォーマー達も帰路につき、舞と雀の二人やコルチナ達も姿を消す頃、駅前に伊達警部と最上刑事の姿があった。

手には12年前の行方不明事件の当事者[白鳥舞]と[大空雀]の当時の小学生一年生の時の写真に加え、現在の二人の姿を想像で作り上げたCG写真付きのビラを持って聞き込み捜査をしていた。

だが、その想像で作り上げた方の舞と雀が全く似てないので、依然捜索は進展しないのだった。

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