第29話 ヒロトみたいです

俺は『ロリっ娘萌え萌え』とかいうアイドル?のライブに来たのだが…


「「うぉー!!」」

「ロリっ娘萌え萌えタソー!!可愛いでござるよぉー!!」

「ブモォ~!ボ、ボキュはもうメロメロででありますー!!」


…意外とすごい盛り上がりだな、そんなに人気なのか。とりあえずライブが終わったらまたそこら辺にいる人にヒロトって奴がどこにいるか聞かないとな。


「なぁ、ちょっと聞きたいんだが」

「ん?なんだ?」


俺が話しかけた奴は黒目黒髪で、なんだか日本人みたいな雰囲気だな。


「この街の名付け親のヒロトって奴はどこにいるんだ?」

「あー、そのヒロトってのは多分俺のことだな。」


Oh…なんてこったい。偶然話しかけた人が探してた人物だったなんてことがあるんだな。


「で、俺に何か用か?」

「あんたは、地球からの転移者か?」

「もしかして、あんたも転移者なのか!?」

「あぁ、俺も地球から転移してきたんだ。」

「地球じゃやっぱりあのド派手な深夜アニメが流行ってたのか?」

「もちろん、俺はあのアニメを見逃したことはないぜ!」

「「同志よ!!」」


こいつとは仲良くなれそうだ。


久々に地球の奴と会った俺はヒロトと色々と語り合った。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

気が付くとアイラたちを放置して長々と話し合ってしまったようだ。


「すっかり話し込んじゃったな」

「いやぁ、久々に地球の奴と話してテンションが上がっちゃったよ!」

「まさか、日本人で同じ趣味の奴に異世界で会えるとはな!凄い偶然もあるもんだな!!」

「ほんとだな!だが、この世界には俺たちと同じように転してきた奴らが何人もいるらしいからな。しかも、その中には自分から進んで悪人になった奴らが大勢いるって話だぞ。」


どうやら俺たちみたいに普通に生活するのは珍しいようだ。確かに地球じゃ人を殺したり盗みをするとすぐに捕まっちゃうからな…だが、この世界だったら目撃者を始末するだけで済むってことか。


「そんな奴に会ったら俺が全員騎士団の詰め所に連行してやる」

「ハハハッ、そりゃあ頼もしいな!じゃあこれからもこの世界の治安維持に協力してくれよ」

「あぁ、任せとけ。」


そういえば俺達の泊まる宿が無かったな。


「ところで、この街に宿屋はあるか?今日ずっと歩いたから疲れたんでな…」

「うーん、何軒かあるけど…一番のおススメはこの広場から北に向かって道を進んで行って、突き当りにこの街限定のスペシャルな宿があるからそこに泊まるといい。もちろん防音済みだから、おにゃのことムフフなことをやってもバレないぞ」

「そ、そこまで分かっていたとはな…。さすがだ」

「まぁ、また何か聞きたいことがあれば俺の家に来てくれ。俺の家はその宿の近くにある赤色の屋根をした家だ。赤色の屋根の家はこの街には一つしかないからすぐにわかるはずだ。」

「おう、助かるぜ。…じゃあ、またなにかあったら呼びに行くぜ」

「あぁ、待ってる。」


こうして俺達はヒロトと別れて宿に行って宿泊の手続きをすることにした。


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「ふぅ、今日もいろいろあって疲れたなぁ。それとすまなかったなアイラ、イズナ…ちょっと同じ場所の出身者と会ってテンションが上がっちまってな」

「…ツバサが楽しそうだから、私はなんともない」

「まったく…別に私はアイラと色々話せたから特に問題はないわよ」


ホッ、これでアイラたちが拗ねてたらどうしようかと思ってたぜ。一先ず今日は疲れたから早く寝るとするか…

そう思って布団に入って寝ようとしたのだが、イズナが布団の傍でモジモジしていた。


「ん?どうしたんだ?そんなモジモジして。」

「え?い、いやべつにモジモジなんてしてないわよ!」

「モジモジしてるだろ、しかも妙に顔赤いし…」

「……ねぇ、私はツバサの…そのよ、嫁なのよね?」

「あ、あぁそうだが?どうかしたか?」


いったいどうしたんだ?何か問題でも起きたか?


「どうした?なんか今日のイズナはおかしいぞ」

「そ、その…」


なんか深呼吸までしてるけど、本当に大丈夫なのか?


「私を抱きなしゃい!!」

「ファ!?」


あのイズナが噛みながらこんな恥ずかしいセリフを??…カ、カワユス!!


「あぁー!私のバカ!!なんでこんなところで噛むのよ!こんなんじゃツバサに愛想つかれちゃうじゃない…折角ツバサと少し仲良くなれたと思ったのに……もう一人はイヤ…」


俺は泣いているイズナをギュッと抱きしめた。

こんなに俺の事を想ってくれる女の子を泣かせておくのは良くないからな。


「!?」

「大丈夫だ。俺はイズナに愛想を尽かしたりはしないし、嫌いにならないから。」

「あ、ありがとう…ツバサ!」

「…良かった、二人とも仲良くなれたみたい」


どうやらアイラはこのことを知っていたようだ。


「そっか、俺が話している間にアイラと二人で考えたのか…」

「…ん、ツバサがイズナをちゃんと抱くのか、不安に思ってたみたい…だから手助けしたの」

「ちょ、なんでここでバラしちゃうのよ!」

「そうか…健気な奴だなぁ。可愛いぞイズナ!!」

「ふぇ!?この私が可愛い?そんなことあるわけないでしょ!?」


そういいつつイズナの顔は真っ赤だ。


「お前はちょっと強気だけど、可愛いぞ!さっき泣いたときのイズナは最高に可愛かったぞ!!可愛すぎて興奮した!」

「こ、興奮!?な、な、なに言ってんにょ!…あっ、また噛んじゃった!!」

「そういうところがまた可愛い!今夜は激しい夜になりそうだ!!」

「…ツバサの欲求はほぼ無尽蔵だから、私も手伝う」

「そんなに凄いのね…。よーし、私も頑張るわ!!」


こうして俺たちは長い夜を過ごした。

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