第27話 魔王みたいです
「うーん、いい朝だ!!」
そう言って俺は小屋の窓を開ける。俺はアイラと再会させてくれた小屋に感謝を込めて掃除をすることにした。
すると
「…ん、ツバサ?何してるの」
「あぁ、起こしちゃったか…ちょっとこの小屋の掃除をしてるんだ。アイラが世話になったみたいだからな」
「…私も、掃除手伝う」
「ありがとな、じゃあアイラは窓を拭いてくれるか?俺は床と壁を拭くからさ」
「…ん、頑張る。」
なんか小さい身長で頑張って掃除をしているアイラを見ると、子どもを見守る父親みたいな気分になるな。…ハッ!?イエスロリータノーt…そんなセリフはもう古い!……デュフ、デュフフフフフフ
おっといかんいかん、これ以上変態にならないように自重しないと。
そして掃除を終わらせた俺達は魔王の城に向かうことにした。
「…ツバサ、魔王って強い?」
「うーん、どうだろうな…俺よりは強くない……と思いたいな。」
「…ツバサは強い、だから大丈夫」
「ありがとなアイラ」
「…えへへ」
そうイチャイチャしながら俺たちは国王が住んでいそうな程豪華な城に到着した。
そこで念のためにラムに確認を取ったが、やはりここが魔王の城で合っているようだ。
「…とりあえず入るか」
「…ん、敵が出てきたら容赦はしない」
そうして俺たちは魔王の城?に乗り込んだ。
**************************
丁度俺たちが魔王の城に入ったころ、魔王の城の中の一室で魔王と下っ端の魔族が話をしていた。
「魔王様っ、城に人間が入ってきたようです!」
と、下っ端の魔族が片膝をついて報告をしていた。すると、その前にいた魔王は静かに笑った。
「うふふ、やっと来たのね…待ってたわよ。あんたたちはお客様を丁重におもてなししなさい!」
「ハッ」
そう言って男は部屋から出て行った。
「さーて、少しは楽しめるかしら…」
そう言って女はまた笑った。
**************************
「お邪魔しまーす」
そう言って俺は魔王の城のドアを蹴ったつもりだった…だが、扉はいとも簡単に吹っ飛んで行った。まるで発泡スチロールみたいだな…。まぁ、そんなことはどうでもいいからとりあえず中に入るか。
そう思った俺はアイラと城の中に入っていった。
「居たぞー!侵入者だ!!」
「魔王様に言われたとおりに丁重におもてなししろぉ!!」
などと言いながら大量の魔族が押し寄せてきた。
…ちっ、ウザいな。先手必勝で消し飛ばしてやるか…
『ファイヤーボール』
チュドーン
「ギャー!」
「化け物めぇー!」
あ、加減間違えた…でもまぁいっか
とりあえず魔王の城は半分くらい消し飛ばしたけど、魔王はどこにいるんだ?
俺がそんなことを考えていると
「…ツバサ、魔王も吹き飛ばしちゃったの?」
「いや、そんな簡単に吹っ飛ぶような弱い魔王なわけがないじゃないか」
などと言った俺だが、内心すごく焦っていた。
…ホントに魔王が吹き飛んでたら、帰り方を教えてくれる人が居なくなって、俺たち帰れなくなるんじゃね?……でも、アイラと一緒に居られるなら別に構わないがな。俺がそう思っていると、突然足元から声が聞こえた。
「勝手に私を殺すんじゃないわよ!」
「ん?誰かしゃべったか?」
「…ツバサ、足元」
「え?…うぉ!!」
俺がアイラに言われて足元を見てみると、そこには見覚えのある狐耳の女がいた。
「ま、まさか、お前は……誰だ?」
だが、俺は記憶を魔獏に喰われているので思い出せなかった。
「失礼な奴ね!つい最近会ったばかりじゃない!!」
「…ツバサは、魔獏に記憶を喰われてる…」
「あぁ、そういうこと。喰われたんじゃ仕方ないわね」
「悪いな、あんたのことはまだ思い出せていないんだ…」
「そう…ならこうするしかないわね」
「!?」
なんと、女はいきなり俺にキスをしてきた。
くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
…一瞬脳の回線がショートしちまったぜ、美少女のキスは何て破壊力だ!
だが、キスをされた瞬間にアイラから殺気を感じたのですぐに俺の思考は復活した。
「あ、あのぅアイラさん?今のは僕からじゃないんですが…」
「…今のは、防ぎようがなかった」
ア、アイラタソがしょげている!これはこの狐耳の女のせいだ!
「おいイズナ!お前が俺にキスをするからアイラがしょげちゃったじゃねぇか!!」
「しかたないじゃない…でも、そのおかげであんたの記憶は戻ったでしょ?」
「…確かに、記憶は戻っているな。イズナの名前も普通に出てきたし…ていうか、それより聞きたいことがあるんだが。」
「ん?なによ?」
「イズナって狐族なのに魔王なのか?」
「えぇ、そうよ。魔王は8人いるけど、別に魔王がみんな魔族なわけじゃないのよ。」
「そうなのか…因みにイズナは魔王の中でどれくらいに強いんだ?」
「うーん、一番下か下から2番目ってとこかしら。」
「じゃあまだ強い奴はいっぱいいるってことだよな?」
「まぁそういうことになるわね。でも、ツバサってホントに強かったのね!!前に会った時はアイラに守ってもらってたからてっきり弱いんだと思ってたけど…。」
「あー、あの時は色々事情があって弱くなってたんだ。詳しい話は後々話すよ。」
「そう…そう言えばいきなりだけどツバサには私と、その、け、結婚してもらわなきゃいけないのよ。」
「は!?なんでだ!?」
「ほら、私ってツバサに負けちゃったじゃない?狐族の掟で自分より強い雄と結婚しなきゃいけないのよ」
「…どうしましょうアイラさん」
「…イズナなら、そこまで嫌いじゃないから、構わない…。でも、本当の嫁は私」
「だ、そうです」
「ありがとね二人とも!とりあえずこれで魔王はツバサに引き継がれたわ!」
「…え?俺が魔王?」
「そうよ、だってツバサは私より強いんだから、ツバサが魔王になるに決まってるじゃない。」
あれ?俺は普通にハーレムを築くだけの予定だったんだけどな…
「魔王って城からほとんど動けないのか?」
「別に城から動けない分けじゃないわ。ただ、勇者とかの相手をしなくちゃいけないだけよ」
マジかよ…勇者ってことは俺と同じ転移者ってこともあり得るじゃねえか。
万が一知り合いだったら気まずいだろうな…だが、今の俺は進藤翼じゃなくてツバサだ。魔王になってやろうじゃねえか!!
そう一瞬思ったが、やっぱり面倒なのでやめた。
だが、その代わりに魔王候補を出すことにした。
「こいつが魔王候補だ」
別に俺が魔王にならなくてもいいので、ここら辺のモンスターの中で結構強いラムにここら一体の管理を頼むことにした。
「ラム…ここの魔族たちは好きに使っていいから寂しくないように生活するんだぞ」
俺がそう話しかけると、ラムはプルプルと体を震わせて答えた。
「よし!これで魔王の問題は解決だな。」
「まぁ、別にこのスライムは強いから、業務に問題なさそうね…」
「じゃあ俺たちは移動するとするか…」
「…ん、じゃあまたねラム…」
こうして俺たちは魔王の城跡から離れた。
そう言えばイズナにどうして魔王なのにも関わらず、俺を倒そうとしなかったのか聞くのを忘れていたが、いつか聞けばいっか…
そして、ツバサ達が去った後異常にガードの堅いスライムがいると噂の魔王城が出来たのだが、それはまた別のお話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます