第26話 従魔みたいです
魔王の城を旅だった俺たちは、魔大陸を旅していた。
だが、それは容易な事でなく、俺がアイテムボックスにモンスターの肉等を入れておかなければすぐに死んでいただろう。
何故俺たちが来た時と同じ手段を使わなかったのかと言うと、元々あれは俺が壊滅させた盗賊団の下っ端で、その日偶然街まで買い物に行っていて、帰って来たら俺が盗賊団を壊滅させたという話を聞いて、その復讐で俺たちを殺すために態々転移先を魔大陸に設定した転移石を投げつけたようなのだ。
しかも俺たちはその転移石を持っていない。要するに、俺たちは歩いて元の街まで戻るしかなくなったのだ…
「…もう疲れた」
「…ん」
「ホントねぇ」
俺たちは半日以上ずっと歩き続けてきたのでそろそろ精神的に参ってきていた。
「とりあえずここらへんで休憩にするか…」
「はぁ…疲れたぁ」
「あとどれくらいで元の場所に帰れるんだ??」
「そうねぇ、私たちなら走ってあと10日…あんたなら走れば1日で行けるわよ」
「俺のダッシュはどんだけ速いんだよ…」
「…ツバサの力は、人外」
「そうよね、確かにツバサは人外だわ」
「俺はついに人間を卒業しちゃったかぁ…」
「そんなことよりツバサにお願いがあるんだけど」
「そんなことで片付けられるなんて悲しいな…なんだ?」
「ちょっと真っすぐ1時間ぐらい走って様子を見てきてくれないかしら?」
「俺はパシリじゃないぞ…だが、まぁ俺はまだ体力があるから行ってきてもいいが…でもなんで今なんだ?」
「なんか強い魔物がいるみたい。もしかしたらシルバーウルフでもいるかもね…」
「そのシルバーウルフって強いのか?」
「そりゃ、めちゃくちゃ強いわよ。私じゃ手も足も出ないくらいよ…でも、聞いた話によると自分より強いと認めた相手には従うらしいわ。」
なるほどな、それで俺の従魔にして自分たちは楽をしようってことか…。
でも、アイラをあんまり歩かせるのはなるべく控えたいしな……
「いいだろう、俺がその魔物を従えてきてやる。
「助かるわ」
「…ツバサ、カッコいい」
こうして俺はシルバーウルフがいるかもしれない場所へ走っていった。
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俺がその場所に着くと、銀色の毛に覆われた体長15mほどのオオカミが丁度餌を食べているところだった。
…どうしよう、とりあえず話が分かる奴かも知れないから話しかけてみよう。
「おーい、お前がシルバーウルフなのか?」
俺がそう声を掛けると、シルバーウルフらしきオオカミがこちらを向いた
「我に話しかけるとはかなり自信があるのか、それともただ単に愚鈍な者なのか…」
「なんか、仲間にお前を従わせて来いって言われたんだが…」
「フハハハハハッ!面白い!面白いぞ人間!!我に勝つことが出来れば其方に使えてやろう!!」
そう言ってシルバーウルフは俺に向かって殺気を放ってきた。だが、ザックこと人神に比べれば大したことはない。
相手がどう出てくるかわからないので、とりあえず鑑定をすることにした。
『鑑定』
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シルバーウルフ(希少種) 狼族
LV 999+
HP 6980000/6980000
MP 703000/703000
筋力 892000
防御 978000
素早さ 697000
スキル
威圧 LV7
魔力操作 LV10
火魔法 LV6
風魔法 LV5
気配察知 LV10
嗅覚 LV8
称号
獣王
レベルカンスト
気まぐれ破壊神
神話の化け物
ユニークスキル
???
加護
獣神の加護
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…俺以上にチートな奴いたわ!!ってかこれ絶対殺されるやん!!!
ボソッ「レベル999+って…」と、うっかり口にしてしまった俺にシルバーウルフはすごい威圧を込めてきた。
「ほぅ、其方はステータス鑑定が使えるのか…ということは、神官みたいな神の使いか、それとも勇者か…まぁどちらもよい。さっそく勝負と行こうぞ!」
「え?嘘だろ?」
「嘘ではない、ゆくぞっ!!」
マジかよ!あいつマジでやる気満々だよ!あんなチートの怪物にどうやって勝てば…ハッ!?俺には吸収スキルがあるじゃないか!!よし、魔法が来たら吸収しよう。
そう考えていると、いきなりシルバーウルフが右前足の爪を振り下ろしてきた
「考え事をしている暇はないぞ!」
「うぉっ!?」
俺は奇跡的な反応速度でその爪の攻撃を回避すると、攻撃によってがら空きになった右わき腹に至近距離で拳を叩き込んでやった。
「グガッ」
そんな声を上げながらシルバーウルフは10m程後ろに吹っ飛んで行ったが、すぐに空中で体勢を立て直すと、また俺に向かって突進してきた。
「なかなかやるな人間。だが、ほとんど体力は減っておらぬぞ!!」
くそっ、化け物め!まぁ、俺が言えるセリフじゃないけどな。
そんなことを言いながら俺はシルバーウルフに勝つ方法を探していた。
何かないか…何か、必勝法は…
すると、シルバーウルフは俺に向かって口を開けて火属性の魔素を取り込み始めた。
もしかして…ブレスでも放ってくるのか?…ハッ!?アイツがブレスを放とうとしているときに、俺が風魔法でブレスを体内に押し込んでやれば勝てるんじゃないか?
そう思った俺はシルバーウルフの口に向けて全力の風魔法を放った。
『ウィンドボム』
俺の全力で放ったウィンドボムがシルバーウルフの口の中にスポッと入っていった。
そして、自分のブレスを体内に押し返されたシルバーウルフは全身から火を噴きだして倒れた。
「ゴバッ!?」
俺は一瞬シルバーウルフを殺しちゃったのかと思って慌ててステータスを確認してみたが、HPがギリギリ100程残っていたようだった。
「人間…我のブレスの瞬間を狙うとはなかなかやりおるな…まさか、最初からこれが狙いだったのか!?」
いや、完全にアドリブです。貴方に勝てたのは、貴方が俺の事を舐めきっていたからです。
とはシルバーウルフの機嫌を損ねる可能性があるので、口が裂けても言えなかった。まぁ何はともあれ、これでシルバーウルフに強さを示すことが出来たので、一応モンスターテイムを使っておくことにした。
『モンスターテイム』
【モンスターテイムのレベルが上がりました】
モンスターテイムのスキルレベルが上がったようだが、とにかくこれで俺と俺の仲間に危害を加えることはなくなった。だが、次は従魔の証としてこのシルバーウルフに名前を付けなければいけない。
「名前は…そうだな、ルーフなんてのはどうだ?俺のいた世界のとある国の言葉で狼を表わす言葉だが…」
「我が主がそういうのならば、それに従うのが従魔の務めだ。」
「そうか、じゃあこれからよろしくなルーフ!」
こうして俺の従魔がまた一匹増えた。なんかルーフがいるだけで都市一つ崩壊させられそう…
「とりあえず俺を仲間たちのところまで運んでくれ」
勿論ルーフにポーションを飲ませておくのは忘れていなかった。
そして俺はルーフの上に乗って、意気揚々とアイラたちの元へ戻っていった。
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