転移ボーナスに強奪スキルをもらった

第50話 オーガの群れみたいです

　俺たちが、冒険者ギルドでオーガ出現の報告を待っていると、突然４０代前半位のおじさんがギルドに飛び込んできた。

「大変だ！オーガの群れが出たぞ！！」

「なに！？もう来たのか…よぉーし、みんな！覚悟はできたか！？」

「「「「おー！！」」」」

「ホントに覚悟が出来てるのか！？」

「「「「おー！！！」」」」

「それでは、行くぞぉ！！」

「「「「おぉおおおおお！！！！」」」」

　…凄い熱気だ。まるで合戦だな。

　そんなことを考えてないで、俺も戦場に向かわないと、オーガを倒せなくなっちまうな。

「よし、俺たちも行くぞ！！」

「…ん」

「ええ」

「分かりました」

　俺たちもワープを使って戦場へ飛ぶと、さっそく目の前で男がやられていた。

「ぐわぁ！？…俺は、帰ったら彼女と結婚するって約束したんだぁ！！」

　こんなところで死亡フラグを立てるんじゃない…

「全く仕方ないな…、俺も少々本気を出してやるか…。くらえ！マッハパンチ！！」

　説明しよう！マッハパンチとは、俺がほぼ全力で放つただのパンチの事だ！普通のパンチと違う点は、パンチの速さが本当にマッハを超えるということだけだ！

　上記で説明したように、俺のパンチはマッハを超える。…マッハを超えるパンチを地上で放った場合、周りの状況はどうなるのか？

　答えは簡単！周りの物がすべて吹き飛ぶのだ！！

「うわぁー！俺は嫁と…」

　男は何処かへ吹き飛ばされていった。…死亡フラグを回収されなくてよかったな。

「…ツバサ、残りのオーガが全部こっちに向かってきてる。」

「なに！？…きっと俺を脅威だと判断したんだろうな。まぁ、そりゃあそうだ。何しろ俺は世界を破壊できる可能性を秘めた男だからな！」

「え！？…ツバサ、アンタまさか…魔王に？」

「いや、ならねぇよ！？」

「ご主人様…魔王になられるのですね！！素晴らしいです！」

「…ツバサなら、魔王になった後、ハーレム目指してそう…。」

「確かにそうよね、ツバサならあり得るわ。」

「おい、お前らの中の俺は、どんな扱いになってるんだ！！」

「「聞きたい？」」

「…なんか怖いから遠慮しとく。」

「ご、ご主人様！後ろ！！」

「ん？」

　ルーフに言われて、後ろを振り向くと、俺の目の前に岩が迫っていた。

「…危ない！！」

　俺が岩をぶっ飛ばすと、岩は割れることなく飛んできた方向へ逆再生するかのように飛んで行った。

　どうやら、さっきの岩は、オーガが俺たちに向かって投げた岩だったようだ。

「…おい、お前ら…もう少しで俺の大事な嫁に傷をつけるところだったんだが…、どう責任を取ってくれるんだ？あぁ？」

　と、昔見たヤクザものの映画のように睨みつつ、威圧を発動させる。

　すると、俺の威圧をくらったオーガが、たちまち俺に向かって頭を下げてきた。

「…なぁ、あれって何をしてるんだ？」

「確か、オーガが頭を下げる時は、新しい主人を見つけたときね。」

「は？」

「要するに、ツバサを新しい主人として認めたってことよ。」

「なんで俺が？」

「知らないわよ、そんなのはオーガに聞いてよ。」

「…ツバサ、強い。」

「じゃあ、とりあえずオーガを全部ぶっ飛ばしてみて、生き残ってた奴だけ仲間にしよう。」

「…ん、それがいい」

「そうね、そしたら作業が楽になるわね。」

「さ、さすがですご主人様！」

　よーし、じゃあ一気に行くぜ！マッハパンチ！！

　ズドドドド　と、物凄い音を立てて地面が抉られていく。そしてオーガたちが『アレ？』という表情をしながら吹き飛ばされていく。

　いやぁ、もう少し加減という奴をすればよかったなぁ。なんか、俺に向かってやってきたオーガを横取りしようとしてた連中まで吹き飛ばしちゃったみたいだ。

　吹き飛ばした後には、荒れ果てた地面しか残っていなかった。

「…あれ？」

　俺は思わず目を疑った。何故なら、俺が吹き飛ばした後に残ったのは、古臭い壁画のようなものだったからだ。

「オーガすらも吹き飛ばす力だったのに、なんでこの壁画的なものは残っているんだ？」

　興味がわいたので、近付いて調べてみた。するとアイラが

「…ツバサ、何かのスイッチがある。」

　どれどれ…おぉ、本当にあった！

　龍が描かれた壁画の丁度龍の脚のところに、何かのスイッチがあった。

　ちょっと触ってみ…ガタン！

「え？」

「…」

　…ちょっとスイッチを触るつもりだったのに、スイッチを押してしまったようだ。

　しかもアイラはスイッチを押したかったらしく、スイッチを押した俺の脛をガンガン蹴ってきた。

「ゴメンなアイラ…。次のスイッチはアイラに押させるから、許してくれ。」

「…ん、次は私が押す。」

　どうやら次のスイッチはアイラが押す。ということで納得してくれたようだ。

　ところで、このスイッチは何の役割を果たすスイッチだったんだ？

　と、俺が悩んでいると、何やら声がした。

「ツバサ―！ちょっと来て―。」

「分かったー！今行くからちょっと待ってろ。」

　そして、イズナのところへ行くと、そこにはダンジョンらしき建造物があった。

「…なんでこれは！！」

「なんか、さっき何もないところから急に現れたのよ。…ねぇツバサ、何かしたの？」

「…その、だな。うっかりスイッチを押しちまった。テヘッ☆」

「はぁ…。どうせツバサの事だからそんなことだろうと思ったわよ。」

「ゴメンな…だが！この建造物は、入ってみる価値がありそうだ！」

「そうね、確かに私も気になるわ。ルーフはどう思う？」

「私も気になります。」

「…ツバサ、入りたい。」

「よし！じゃあ探検だ！！」

「「「「おー！」」」」

　俺が声を掛けると、四人の返事が帰って来た（・・・・・・・・・・・）ので、満場一致で建造物の中に入ることにした。